【シニアに最適な平屋の間取り】老後も快適に暮らせる家づくりのポイント

シニアに最適な平屋の間取り

「子どもが独立したため、コンパクトな家に建て替えたい」「老後を考えて、バリアフリーに配慮した住宅に住みたい」との理由から、シニア世代において平屋への建て替えを検討する人も多いのではないでしょうか。

階段がなくワンフロアで生活できる平屋は、老後を過ごす住まいとして最適と言えるでしょう。

本記事では、シニア夫婦が暮らしやすい20坪前後の平屋の間取りを紹介しながら、老後も安心して暮らせる間取りづくりのコツを一級建築士の高橋良彰さんのアドバイスを交えて詳しく解説します。 老後に向けて平屋の建築を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

監修者 高橋 良彰
一級建築士事務所 高橋良彰建築研究所 / 一級建築士
建築を学び始めた武蔵野美術大学時代から設計事務所スタッフやハウスビルダー勤務、また、「住まいの学校『住学』すがく」等これまで様々なかたちで建築に関わってきました。
この仕事の一番の魅力は“人との出会い”だと思っています。
「快適な省エネ住宅をローコストに供給する」を信条とする新住協会員。
住まい手の要望や想いを反映させた住まいづくりをモットーとしています。

目次

シニア夫婦に最適な平屋の坪数と価格の目安

シニア夫婦に最適な平屋の坪数と価格の目安

まずは、夫婦2人で暮らすために平屋を建てる場合にどれくらいの広さが必要なのか、そしていくらかかるのかについて解説します。

夫婦で暮らすために必要な延床面積

国土交通省が発表している「住生活基本計画」では、「豊かな住生活の実現のために必要な広さ」として「誘導居住面積水準」が定められています。一人暮らしに必要な延床面積は55㎡(約16坪)とされ、2人以上の場合は「25㎡×世帯人数+25㎡」という計算式で算出されます。

計算式から夫婦2人で暮らすために必要な面積を求めると、「25㎡×2+25㎡=75㎡(約23坪)」となります。このことから、20坪前後の平屋であれば暮らしやすいと言えるでしょう。

20坪の場合、間取りは1LDK~2LDKが標準的です。面積的には3LDKも可能ですが、部屋の数が増えると掃除や管理が大変になることもあります。居室ごとの用途をしっかりと考えて間取りを決めるようにしましょう。

平屋を建てる費用の目安

住宅金融支援機構が行ったフラット35利用者調査(2023)によると、注文住宅の建築費用は全国平均で3,863万円、延床面積は119.5㎡(約36.1坪)です。これを延床面積20坪に換算すると、約2,140万円です。ただし、あくまで平均のため、建築会社やオプションによって変動することがあります。一つの目安として参考にしてください。

坪単価30~50万円のローコスト住宅であれば約600~1,000万円、坪単価50~70万円程度の中堅ハウスメーカーや工務店では約1,000~1,500万円と、1,000万円前後(本体価格のみ)で建てられる場合もあります。

参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2023年度)

老後も暮らしやすい平屋の間取り3選とリノベーション事例【20坪前後】

IECOCORO(イエココロ)の家づくりサポートサイト「自慢の注文住宅集めました。」から、シニア世代に最適な延床面積20坪前後の間取りを3つ、そして2階建てから平屋にリノベーションした事例を1つ紹介します。すでに一戸建てに住んでいる人は、リノベーションするのも1つの手段です。ぜひ参考にしてください。

①【18.8坪/1LDK】ZEH仕様の高性能な平屋

18.8坪_1LDK-間取り図
スクロールできます
18.8坪_外観
外壁はアクリルコートのコテ仕上げ
18.8坪_リビング
国産の良質な松を使用したリビングの床が温もりと上質感を演出
18.8坪_キッチン
対面ではスペースが必要になるため、背面キッチンを提案

高気密・高断熱とパッシブデザインを取り入れて、各部屋の温度差を最小限に抑えたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の1LDKの平屋です。延床面積20坪に満たないコンパクトサイズながら、塗り壁や無垢材を使って住み心地の良い家に仕上げています。暑さや寒さのストレスから解消された住まいで、スローライフが楽しめます。

建物・工務店情報
設計・施工

periwinkle(ペリウィンクル)

価格の目安

坪110万円~(延床面積:2階建て33坪の場合)※造作・電気・水道・付帯工事、申請・設計・調査各諸費用込

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

エネルギー消費量が実質ゼロ以下になる住宅のことで「ゼロ・エネルギー住宅」とも呼ばれます。住宅の断熱性能を高めることによって消費エネルギーを減らしつつ、太陽光発電などを用いてエネルギーを創り出すことで「創出エネルギー≧消費エネルギー」を実現します。
エネルギー消費量の削減割合などに応じて、「ZEH」、「ZEH +(ゼッチ プラス)」「Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)」「Nearly ZEH +(ニアリー ゼッチ プラス)」「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」の5つの種類に分類されます。

参考:資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅

②【21.0坪/2LDK】ちょうど良い距離感で過ごせる平屋

21坪_2LDK-間取り図
スクロールできます
21坪_外観-ウッドデッキ
アウトドアリビングにもなるウッドデッキ
21坪_リビング
山小屋をイメージして自然素材を豊富に使用したLDK
21坪_寝室
収納力抜群のクローゼットと飾り棚を配した寝室

2LDKのコンパクトな間取りで、プライベート空間がありつつも家族とつながりやすい、「ちょうど良い距離感」で暮らせるのが特徴の住まいです。自然素材をたくさん使った邸内は、一歩入った瞬間から木の香りが感じられるほか、調温・調湿効果にも期待できるため、毎日を快適に過ごせます。

建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

設計・施工

中村住宅工業

価格の目安

1,749万円~(延床面積28坪の場合)

③【24.0坪/2LDK】ガレージと薪ストーブを楽しむ平屋

24坪_2LDK-間取り図
スクロールできます
24坪_外観
片流れ屋根のスタイリッシュな外観
24坪_リビング
扉のない間取りでも薪ストーブが家全体を温めてくれる
24坪_寝室
無垢材の心地よい香りが深い眠りを誘うログハウスのような寝室

定年を迎え、夫婦でゆったりとした時間を過ごすために改めて建てた2LDKの平屋です。「いつでも家族の存在が感じられるように」と、トイレと浴室以外のドアを付けない構造にしながらも、程よく空間を区切ることでプライベート空間も確保しています。

建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

設計・施工

中村住宅工業

価格の目安

1,749万円~(延床面積28坪の場合)

④【22.0坪】〈リノベーション〉2階建て26坪の家を約22坪の平屋に

22坪_リノベーション_キッチンダイニング
スクロールできます
22坪_リノベーション_リビング
充分な採光が得られるリビングの大きなFIX窓
22坪_リノベーション_ランドリールーム
洗面脱衣室にはランドリールームとウォークインクローゼットを隣接
22坪_リノベーション_外観
太陽光の反射を防ぎ、周囲とも調和するクリーム色の外観

既存の家の不要な柱を取り除きつつ、金物や鉄骨の梁で補強し、耐震等級3レベルを実現しています。また、断熱改修により高性能グラスウールを施工して、ZEH基準を大きくクリアする高性能な住まいになりました。下にある「詳しく見る」のボタンから、リフォーム前の様子もぜひご覧ください。

建物・工務店情報
設計・施工

松本建設

価格の目安

坪75万円~(延床面積30坪の場合)※付帯工事を含んだ総額の目安

平屋がシニア世代に最適な理由とは?

平屋がシニア世代に最適な4つの理由

ここで、なぜシニア世代に平屋が適しているのか、4つの理由を紹介します。

怪我のリスクを減らせる

平屋は階段を使った上下移動がなく、転落や転倒による怪我のリスクが抑えられます。また、ワンフロアのため、部屋間の段差をなくしたり、手すりを設置したりするなどの「バリアフリー化」がしやすいことも利点です。平屋にバリアフリー対策を施すことで、より怪我のリスクが少ない安全に暮らせる家をつくることができます。

バリアフリー(住宅)とは

一般的には「高齢者や障がいのある人が生活するうえで支障となる障害物(バリア)を取り除き(フリー)、安心・安全に暮らすための設備を備えた住宅」のことを指します。ただし、建築基準法などによる明確な定義はありません。

動線が短く、生活しやすい

20坪ほどの平屋であれば、LDKを家の中心に据え、そこを基準に各部屋を配置する間取りが多くなります。そのため、生活動線や家事動線がコンパクトになります。移動や家事による負担が減ることで、ストレスの少ない生活を送ることができるでしょう。

動線とは

住宅における「動線」とは、人が家の中で移動する際の経路や流れのことを指します。家づくりの際に意識したい動線は、次の2つです。

  • 生活動線:リビングからトイレや浴室、寝室へ行くなど、日常生活で利用する経路全般
  • 家事動線:料理・洗濯・掃除など、家事をする際の動き

動線が整っていると、無駄な移動や手間が減り、日常生活を効率的かつ快適に送ることができます。

災害に強く、緊急時に避難しやすい

重心が低い建物は、地震による揺れや強風の影響を受けにくく、さらに構造がシンプルであるほど揺れが均等に分散され、倒壊の危険性が低下すると言われています。
このことから、正方形や長方形などのシンプルな造りで建てられることが多い平屋は、2階建ての住宅に比べて耐震性に優れた住宅であることがわかります。

また、地震に限らず、水害や火事が起きた場合でも、平屋であれば玄関や窓からすぐに外へ避難することが可能です。近年では大雨による被害も増えているため、災害時にスムーズに対応できることは大きなメリットと言えるでしょう。

修繕費用を抑えられる

一般的に、住宅は10~15年ごとに修繕が必要になります。その際、外壁や屋根を直す場合でも、平屋は足場を高く組まなくて済むため、2階建ての住まいよりも修繕費用を抑えることが可能です。また、メンテナンスにかかる時間の短縮にも期待できます。

【20坪の平屋】老後を見据えた間取りづくりのコツ

老後を見据えた間取りづくりのコツ

シニア世代の家づくりでは、杖や車いすを使った移動や介護の生活に対応できるように、安全と利便性を優先することが大切です。高齢で住む住宅だからこそ注意したい間取りづくりのポイントを、場所ごとに解説します。

玄関とアプローチ

将来的に杖や車いすを使うことを想定して、玄関扉は開けやすい引き戸にするほか、玄関土間を広めにつくるのがポイントです。余裕がある場合には、ベンチや台を設置すると靴の脱ぎ履きに役立ちます。また、外出用と室内用に車いすを使い分ける場合を考慮して、収納場所を確保すると良いでしょう。

玄関へのアプローチは階段が一般的ですが、足腰が弱ると躓きやすくなり、転倒する恐れがあります。そのため、どのような状況でも安全かつスムーズに移動できるよう、スロープの設置をおすすめします。

玄関アプローチをスロープにした例
淡い色彩のタイルがおしゃれな玄関スロープ
アキュラホーム高崎中居店/山里建設
フラットな玄関
アメリカンスタイルのフラットな玄関
Narrative ナラティブワークス
高橋 良彰

玄関周りは転倒のリスクが高い場所です。土間から上がり框(かまち)までの段差を低く設計するほか、手摺を付けたり、靴の脱ぎ履きの為にベンチを設けたりするのもバリアフリーの手法です。必要に応じて取り入れると良いと思います。

リビング・ダイニング・キッチン(LDK)

家で過ごす時間が増えるシニア世代にとって、リビングは日々の暮らしの中心となる場所です。ゆったりと寛げることのほか、来客なども考慮し、他の居室よりも広いスペースを確保しましょう。小さな平屋でも、天井を高めにしたり、庭側に大きな窓を付けたりすると開放感が生まれ、快適に過ごすことができます。

また、キッチンは座ったまま調理できるものにすると、長時間の立ち仕事が難しい人や車いすを使う人でも快適に料理が作れます。さらに、IHコンロにすることで、火の消し忘れによる事故などを防ぐことができるでしょう。

高橋 良彰

開放感を出す手法は色々とありますが、シニア世帯の住まいで特に気を付けたいのはメンテナンス性です。
また、開放感を重視するあまり、窓を大きくしすぎないように注意しましょう。夏は暑く、冬は寒い住まいになることは避けなければなりません。バランスを考慮した設計が大切です。

トイレ

車いすでの利用を考慮すると、広さは0.75~1坪、間口は90cm以上が望ましいとされています。特に、介助が必要な場合には1坪の広さが必要です。

ドアは玄関と同様に引き戸にし、適切な位置に手すりを取り付けましょう。広いスペースを確保できる場合は、トイレの中に手洗い場を設けることで洗面台に移動する手間を減らすことができます。

また、高齢になるとトイレに行く頻度が増え、夜間に行くことも多くなるでしょう。移動や介助を楽にするためにも、寝室の近くに配置することをおすすめします。

バリアフリーのトイレ
車いすでの利用を見据えたバリアフリーのトイレ
松本建設
高橋 良彰

トイレの引き戸は、床にレールがない「上吊りタイプ」がおすすめです。段差が解消されて躓く心配がなく、車いすの移動もしやすくなります。

浴室・洗面脱衣室

浴室は、年齢を問わず転倒やヒートショックなどの事故が起こりやすい場所です。滑りにくい床材やまたぎやすい高さの浴槽を採用する、手すりを設置するなどの対策をしましょう。ヒートショックを防ぐためには、浴室暖房や脱衣室に床暖房を設置して、温度差のない環境をつくることが大切です。

高橋 良彰

その他の部屋と同様に、浴室や洗面脱衣室は広めに設計するのがおすすめです。車いすでの移動はもちろん、入浴介助の際に介助者も身動きがしやすくなります。また、ヒートショックを防ぐためには、気密性や断熱性を高めるなど、住宅の性能を良くすることも重要です。

住宅の性能については、後述の「健康と安全に配慮した家づくりのポイント」で解説しますので、ぜひご覧ください。

ヒートショックとは

暖かい部屋から寒い部屋への移動など、急激な温度の変化により血圧が大きく変動し、体に負担がかかって健康被害を引き起こす現象です。軽度であれば立ちくらみやめまい程度で済みますが、重度の場合は心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気を発症することがあります。

参考:政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!

駐車場

駐車場を設ける際は、少し広めにスペースを取ると良いでしょう。デイサービスを利用する際に送迎車の乗り入れがしやすくなるほか、車いすなどにより介助が必要になった場合でも、車の乗り降りがしやすくなります。

高橋 良彰

車いすや介助による移動を考慮する場合は、3.5m以上の横幅を確保することをおすすめします。また、塀や生垣などがドアの開閉や移動の妨げにならないように注意しましょう。

子どもや孫、友人など、来客に対応できる間取りのコツ

子どもが独立した後も孫を連れて遊びに来たり、友人や親戚が訪ねてきたりすることもあるでしょう。そのような場合に備えるには、20~25坪で2LDK以上の間取りがおすすめです。

【2LDKの場合】
2つの居室のうち1つを夫婦の寝室にし、一方をゲストルームにするのが最も簡単な方法です。
または、リビングの一角を畳スペースにしたり、リビングから見える位置に和室を隣接させるのも良いでしょう。この場合、孫が遊びに来た際に目の届く範囲で遊ばせることができて安心です。

【3LDKの場合】
3LDKであれば、夫婦それぞれの個室を確保しつつ、来客用の部屋をつくることができます。頻繁に来客がある場合には、3LDKを検討すると良いでしょう。ただし、20~25坪の場合は、リビングなどが多少狭くなる可能性があります。

普段使わない部屋であっても、掃除や管理は必要になります。利用頻度などをしっかりと考え、無駄なスペースにならないよう注意しましょう。

【シニア世代の平屋】健康と安全に配慮した家づくりのポイント

健康と安全に配慮した家づくりのポイント

次に、老後も健康で安全に暮らすための4つのポイントを解説します。前述の間取りづくりのコツと併せて、快適な住環境をつくってください。

バリアフリーを意識する

車いすや介護が必要になっても快適に住めるように、「移動・介助のしやすさ、安全な暮らし」を意識して、バリアフリー設計にすることをおすすめします。

移動・介助のしやすさできる限り段差を少なくする
車いすでも出入りしやすいように間口を広くする
玄関アプローチにスロープを設置する
室内扉は開け閉めしやすい引き戸にする
各居室は車いすでも動きやすいように広いスペースを確保する
安全な暮らし玄関・浴室・トイレなどに手すりを付ける
滑りにくい床材を選ぶ
部屋間の温度差を少なくする
電気のスイッチやコンセントは車いすでも使いやすい高さに設置する
手すりを設置し洗面台やトイレの間口を広めに設計した例
通路に手すりを設置し、洗面台やトイレの間口を広めに設計
アキュラホーム高崎中居店/山里建設

防犯性を高める

警察庁の発表によると、令和5年に一戸建てで発生した空き巣のうち、半数以上が窓からの侵入であるとされています。「1階で生活が完結する」という平屋の利点は、見方を変えると「侵入しやすい開口部がすべて1階にある」とも言え、防犯対策をしっかりと講じる必要があります。

参考:警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料

平屋の防犯対策

  • 道路に面した側の窓は小さく、数は少なくする
  • 掃き出し窓は複層ガラスや防犯ガラスにするほか、雨戸やシャッターを設置する
  • 小さな窓は面格子を設置。または滑り出し窓など人が出入りしにくい窓にする
  • 見えやすい位置にある窓は不透明ガラスにする
  • 補助錠を付ける
外構
  • 見通しが悪い場所やアプローチに防犯砂利を敷く
  • 塀や壁で囲わず、できるだけオープンな外構にして死角をつくらない
間取り
  • 玄関を道路側に配置する
  • リビングや寝室を道路から見えにくい位置にする

防犯を意識した間取りやオープンな外構などは、家づくりの段階からできる対策です。不安な人は、建築会社に相談してみましょう。

使いやすい収納をつくる

シニア世代にとって使いやすい収納のポイントは、「安全で楽に使えること」です。
年齢を重ねると、腕を上げたり、腰を曲げたりといった動作が思うようにできなくなります。収納は無理なく物を出し入れできる高さにつくるほか、軽い力で開けられる引き戸を選ぶことがおすすめです。

例えば、クローゼットやキッチン、洗面脱衣室などに棚を付ける場合は、可動棚にすると良いでしょう。収納する物の高さや身長に合わせて棚板の位置を自由に変えることができ、どんな状況でも使いやすい収納を実現できます。

住宅性能を高める

室内での熱中症やヒートショックを防ぐためには、家全体を一定の温度に保つことが必要になります。そこでポイントになるのが、「断熱性」と「気密性」です。

断熱性

断熱とは、外と室内の熱の出入りを遮ることです。断熱性能が高いほど、夏の熱気や冬の寒さなどの影響を受けにくく、室内の熱が外に逃げにくくなります。冷暖房効率が上がり、常に快適な室温を保つことができます。

気密性

気密性とは、家の密閉性を表します。簡単に言うと、家にどれくらい隙間があるかということです。隙間があるとそこから空気が漏れ、安定した室温を維持するのが難しくなります。気密性が高いほど隙間が少なく、室内の空気が漏れにくいため、一定の温度を保った快適な環境をつくることが可能です。

断熱性と気密性のバランスが取れた住宅は、光熱費を削減したり、結露やカビの発生を抑えたりする効果が期待できます。健康に暮らすために、住宅の性能も意識すると良いでしょう。

住宅の省エネ性能について

2022年の「建築物省エネ法」の改正により、「2025年4月以降に着工する全ての新築住宅に〈省エネ基準〉への適合」が義務付けられました。つまり、「2025年4月からは、一定基準以上の省エネ性能を持つ住宅しか建てられない」ということです。また、2030年には「ZEH水準以上」に基準を引き上げることも予定されています。

国土交通省が配布する「待って!家選びの基準変わります」で、家の性能を高める重要性やメリットが学べます。漫画形式でわかりやすく解説されているため、性能について知りたい人は、ぜひ読んでみてください。

参考:国土交通省「建築物省エネ法について

平屋の建築費用を抑える方法とは

平屋の建築費用を抑える方法

高齢になると怪我や病気のリスクも増え、万が一への備えが必要です。また、退職後は収入が減る人も多く、住宅ローンを何十年と払い続けるのは難しいと言えます。シニア世代の家づくりにおいては、可能な限りコストを抑えることが重要になります。

坪数を抑え、間取りをシンプルにする

家づくりを考えるときには、「趣味のためのスペースが欲しい」「広い庭でガーデニングがしたい」など、さまざまな要望が出てくるでしょう。しかし、部屋数が増えれば、その分の面積が必要になり、建築費用も高くなります。

そのため、できるだけ坪数を抑え、間取りをシンプルにすることがコストダウンに繋がります。必要な広さや部屋数を検討し、無駄のない、ちょうど良い広さで計画することが大切です。

ローコスト住宅を扱う会社を選ぶ

ハウスメーカーや工務店のなかでも、ローコスト住宅を売りにしている会社を選ぶことも1つの手段です。

ただし、使用する資材や設備はグレードが抑えられることに加え、さまざまな面で選択肢が少ないことが多いです。そのため、バリアフリーなど老後の生活に合わせた設計に対応できるかどうか、しっかりと確認することをおすすめします。

「ローコスト住宅」や「コストを抑えて家を建てるコツ」については、別の記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。

工務店に依頼する

坪単価は、大手ハウスメーカーよりも工務店の方が安い傾向があります。さらに、設計の自由度が高いため、施主それぞれに合わせた家づくりが可能です。

ハウスメーカーと工務店の違いについては、別の記事で詳しく解説しています。依頼先に迷う人はぜひご覧ください。

また、家づくりの費用についてはこちらの記事で解説していますので、予算に悩む人は参考にしてください。

【まとめ】シニア世代の平屋づくりは「安全性」と「無駄のない計画」が大切

シニア世代の夫婦2人で暮らすには、20坪前後で1~2LDKの間取りの平屋が最適です。老後に平屋に住むメリットは以下の通りです。

また、家づくりの際には「移動・介助のしやすさ、安全性」を優先して、バリアフリー設計にすることが大切です。間取りづくりのコツ家づくりのポイントを参考に、長く快適に住める住宅を建ててください。

退職後は収入が減る人も多く、住宅ローンを長期間払い続けるのは難しいと言えます。坪数を減らしたり、ローコスト住宅を扱う会社に依頼したりするなど、できるだけ費用を抑えることを意識しましょう。
依頼先に迷う場合は、地元の工務店に相談するのがおすすめです。設計の自由度が高く、費用に合わせて柔軟に対応してくれる可能性があります。予算に不安のある人は、工務店への依頼も検討してみてください。

この記事を書いた人

IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。

群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅を建てるなら

イエココロのWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、群馬・栃木・宮城・山形を中心とした工務店情報やモデルハウス情報のほか、多数の「建築実例」を紹介しています。お近くにお住まいの方は、ぜひチェックしてください。

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