一戸建てに住みたいという夢があるけれど、いざ具体的に考えてみるとどんな間取りが良いのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
一戸建ての間取りや設備には魅力的なものがたくさんありますが、家族の人数や生活様式によって必要な要素は変わってきます。自分たちの生活に合った間取りや設備を選ばないと、後悔が残ってしまうかもしれません。
本記事では、間取りを考える前に整理しておきたいポイントから人気の間取りや参考にしたいおすすめの実例紹介、後悔しない為の注意点まで紹介します。 ぜひ、一戸建ての間取りを考える時の参考にしてください。
IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。
間取りを考える前に整理しておきたいポイント3つ
人によって家族の構成や生活様式はそれぞれ異なりますから、ある家族にとっての良い間取りが自分たちにとっても良い間取りであるとは限りません。 自分たちにとって最適な間取りを選ぶためには、①現在の生活における満足な点・不満足な点を把握する、②家族で意見を共有し、優先順位を付ける、③土地の特徴を知るという3つのポイントを整理しておく作業が必要です。
①現在の生活における満足な点・不満足な点を把握する
一戸建ての購入を考えて間取りや設備を調べると魅力的な構想がたくさん目に入り、あれもこれも取り入れたいと考える人も多いのではないでしょうか。しかしどんなに素晴らしい間取りや設備であっても、自分たちの生活に合っていなければその価値を生かしきれず、使いにくい・使わないものになってしまうかもしれません。
このような事態を避けるためには、まず自分たちの現在の生活における満足な点・不満足な点を把握することが重要です。満足な点はそのままに、不満足な点は無くしていけるように間取りや設備を考えることで、自分たちにぴったりの理想の家に近づくことができます。
生活における満足な点・不満足な点を把握するには、家族一人一人の1日の生活の流れを箇条書きで書き出してみると良いでしょう。1日の習慣の中で、この行動は特に困っていない・この行動の時にはこんな不満があるといったような仕分けをすると、生活における満足な点・不満足な点が見えてきます。
②家族で意見を共有し、優先順位を付ける
①において書き出した生活における満足な点・不満足な点を家族間で共有し、どれを優先的に解決するべきか話し合います。一般的に予算などの関係ですべての希望を叶えるのは難しいことが多いため、それぞれに優先順位をつける作業が必要です。
優先順位付けは、希望の間取りや設備について「①絶対に欲しい」「②欲しい」「③できれば欲しい」「④なくても困らない」などに分類し、それぞれの理由を具体的に説明しあうのがおすすめです。おそらく家族間で異なる意見も出てきますが、きちんと話し合って譲ったり代替案を提案したりして不満の残らないような計画を立てましょう。
③土地の特徴を知る
間取りを考える時には、土地の特徴を知ることも重要です。土地の広さや接道状況、日当たりや交通量などによってどこにどの部屋があった方が良いかが変わってきます。土地の特性を生かした快適な生活を実現するためには、自分たちの要望と土地の状況を照らし合わせて検討することが大切です。
特に重視したいテーマを決めてから考えてみる
細かい間取りや設備の要望がたくさんあって意見がまとまらない場合は、特に重視したいテーマを決めておくという方法もあります。「家族とコミュニケーションが取りやすい」「育児がしやすい」「家事がしやすい」「趣味を楽しむ」「ペットと心地よく暮らす」など、何か一つ大きなテーマを決めてそれに沿って考えていくと、意見がまとまりやすくなるでしょう。
【テーマ別】人気の間取りや設備の実例15選【写真あり】
間取りを考えるにあたって、漠然と想像するより実例の間取り図や写真を見るとイメージを膨らませやすいのではないでしょうか。以下で、地域の工務店情報や多数の建築実例を紹介しているWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」より抜粋した間取りや設備の実例をテーマ別に紹介します。ぜひ、間取りを考える時の参考にしてください。
家族間のコミュニケーションを重視した設備
- リビング階段
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リビング階段は、リビングの中に階段を設ける設備です。部屋を移動する時に必ずリビングを通るようになっているため、家族の動きがわかりやすくなり、コミュニケーションが取りやすくなります。
リビング階段のメリット- リビングで家族の会話が生まれやすい
- 廊下に設ける階段よりも開放感があり、デザインもいろいろな選択肢がある
- 土地が狭小地や変形地などの場合、廊下をなくしてリビング階段にすることで面積を有効活用することができる
リビング階段のデメリット- 頻繁に来客がある場合、移動の時に毎回気を使って気疲れしてしまう可能性がある
- 対面キッチン
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対面キッチンは、キッチンの作業場所をリビングと対面するように配置する設備です。通常キッチンの作業場所は壁側を向いていて調理中はリビングの様子がわからないことが多いですが、対面キッチンならリビングを眺めながら作業することができます。
対面キッチンのメリット- 家族の様子を眺めたり会話したりしながら調理ができる
対面キッチンのデメリット- 壁側に沿ってキッチンを配置する場合と比べて広い場所が必要になる
- 吹き抜け
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吹き抜けは、家の中の特定の場所において天井と床を設けず、複数階をつなげる設備です。土地が狭くても家の中に開放感を出すことができ、デザイン性も高いためとても人気があります。
吹き抜けのメリット- 家の中に開放感が生まれ、実際の面積よりも広く感じられる
- 上の階と下の階でコミュニケーションが取りやすくなる
- 日の光を取り入れやすいため、窓の配置の工夫で室内を長時間明るくできる
吹き抜けのデメリット- 上の階の床面積が減る
- 冷暖房の効率が落ちるため、場合によっては対策が必要になる
- 高い位置の照明交換や窓の掃除の難易度が上がる
育児がしやすい間取りや設備
- 間仕切りがある子供部屋
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間仕切りがある子供部屋は、子供たちが小さいうちは共同の広い子供部屋として使い、大きくなったら間仕切りで個人の部屋を確保する設備です。間仕切りは後から設置するより最初から建築計画に取り入れた方が費用がかからないため、後々仕切る予定があるなら最初から組み込んでおいた方が良いでしょう。
間仕切りで仕切れる子供部屋のメリット- 土地が狭い場合でも、子供たちに個室を用意できる
- 子供たちが独立した後には、仕切りを取り払って再び広い部屋として使うことができる
間仕切りで仕切れる子供部屋のデメリット- 壁で仕切るより音は響きやすい
- 1部屋を2部屋として使うため個人が使える面積は狭くなる
- 玄関手洗い
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玄関手洗いは、玄関内や玄関に面した廊下に手洗い場を設けて帰宅後すぐに手洗い・うがいを行い、家の中に細菌やウイルスを持ち込まないようにする設備です。新型コロナウイルスの流行後に感染対策として手洗い・うがいを重視する家庭が多くなり、人気となりました。
玄関手洗いのメリット- 外から帰ったらすぐに手洗い・うがいをする習慣が身につき、衛生的に暮らせる
玄関手洗いのデメリット- 清潔に保つには定期的な手入れが必要になる
- スタディスペース(スタディコーナー)
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スタディスペースは、子供部屋や個室以外の家族の気配がある場所に勉強場所を用意する設備です。間取りや設備の話題以外では聞きなれない単語ですが、勉強や仕事のちょっとした作業台と考えるとわかりやすいかもしれません。建築会社によって呼称が違い、家族全員で使用することを考えてファミリースペースやファミリーコーナーと呼ぶこともあります。
スタディスペースのメリット- 区切られた個室で勉強するよりも集中力が上がる
- わからないところをすぐ質問できるので勉強が進む
- 専用の個室や書斎などを用意する広さがなくても、落ち着いて勉強や作業ができる場所を用意できる
スタディスペースのデメリット- 家族間でどのような時に使う場所であるかの共有意識がないと十分に生かせない
家事がしやすい間取りや設備
- 家事がしやすい回遊動線
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回遊動線を取り入れた間取りは、家の中の一か所を中心としてぐるりと一周できるようになっています。多くはキッチンを中心として行き止まりなく家事室や物干し場を回ることで、家事が円滑に行えることを目指しています。
回遊動線のメリット- 日常で家事を行う時に無駄な動きをしなくて済む
回遊動線のデメリット- 回遊できる通路を確保することで、壁面の収納が少なくなる可能性がある
- パントリー(食品庫)
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パントリーは、食料品や食器などを収納するための小部屋または壁面収納です。普段の整理整頓に役立つだけでなく、災害時の備蓄の準備にもつながります。
パントリーのメリット- 食品や調味料、保存食などをまとめ買いして保管できるので家計の節約につながる
- 災害時の備蓄が用意できる
- 普段あまり使わない調理器具や食器も収納できるのでキッチンが整理整頓しやすくなる
パントリーのデメリット- 無計画に備蓄を増やすと管理が難しくなる
- 設置場所をよく検討しないと使い勝手の良いものにならない
- 土間収納
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土間収納は、靴を脱がずに利用できる玄関の一角に設けられた収納です。主に屋外で使用するけれども外に出しっぱなしにしておくのは不安な道具の収納に便利です。
土間収納のメリット- 汚れを気にせず屋内にガーデニングの道具や子供のおもちゃ、アウトドア用品などを収納できる
- 外に置きたくない高価な自転車なども屋内に保管できる
土間収納のデメリット- 収納するものによっては湿気や臭いの対策が必要になる
趣味を楽しむ設備
- 中庭
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中庭は建物や壁の間にある庭で、一戸建てではロの字型やコの字型、またはL字型の建物や外塀で囲まれた庭を指します。家の中に開放感が生まれるだけでなく、外で行う趣味を人目を気にせず楽しむことができます。
中庭のメリット- 中庭に面した部屋は採光や通風が良くなり、開口部が増えることによって実際より広く感じられるようになる
- ガーデニングやバーベキュー、キャンプなどの外で行う趣味を人目を気にせず家の中で行うことができる
中庭のデメリット- 家の形は複雑になるほど費用が掛かるため、中庭を設置すると建築費用が高くなる
- 湿気や熱がこもりやすくなるため、排水設備や換気対策が必要になる
- 防音室
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防音室は、室外に音が漏れないことを目的につくられた防音性の高い部屋です。主に楽器演奏や映画鑑賞などの用途で導入されます。
防音室のメリット- 一般的な環境で行うと騒音トラブルになってしまうかもしれない音の出る趣味を伸び伸びと楽しむことができる
防音室のデメリット- 一部屋丸ごとの防音設備はそれなりの費用がかかる
- 音の種類によって適した防音設備が変わるため、目的をはっきりさせてから導入しないと役割を果たせない
- インナーガレージ(ビルトインガレージ)
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インナーガレージは建物に車庫を組み込んだ設備で、ビルトインガレージとも呼ばれています。車庫が居住空間の延長になるため、車やバイクが趣味の場合は作業部屋のような造りにしたり、ショールームの様にガラス張りにして家の中から眺められるようにしたりするなど趣味の空間として設置する人もいます。
インナーガレージのメリット- 土地が狭くても自宅に車庫を用意することが可能になる
- 風雨から守られるため天候が悪い日でも車からの乗り降りや荷物の出し入れを楽に行うことができる
- いたずらや盗難などの犯罪被害から高価な車を守ることができる
インナーガレージのデメリット- 建物の一階部分の大きな面積を車庫に使うため他の部屋の間取りの自由度が下がる
- 居住空間と車庫が近くなるため騒音や換気の対策をする必要がある
ペットと心地よく暮らすための設備
- キャットウォーク
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キャットウォークは、高い場所にある猫の通路を指す言葉です。最近では猫が室内で飽きずに過ごすための施設や場所全般を指して使われることもあります。
キャットウォークのメリット- 室内で飼われている猫の運動不足解消になる
- 建築設計に組み込めば、お洒落な内装のように見せることができる
キャットウォークのデメリット- 高所に設置する場合、どのように掃除や手入れをするのかも考えておく必要がある
- 猫の性格によっては設置しても全く使わない場合もある
- ペットスペース
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ペットスペースは、住宅におけるペットの拠点となる場所です。必要となる天井の高さが低いので、階段下部分に設置したり、ペットスペースの上部にペット用品を収納する棚を作ったりすると空間を有効に活用することができます。
ペットスペースのメリット- 縄張りを作る習性があるペットに自分だけの居場所を用意することで、安心感を与えることができる
- 飼い主が普段よく利用する部屋に設置することで、空調設備によるペットの体調管理が容易になる
ペットスペースのデメリット- ペットの性格や種類によっては用意した場所を気に入ってくれない可能性がある
【LDK・坪数別】おすすめの間取りの実例15選【写真あり】
間取りを調べる時、「3LDK」「4LDK」といった表記を基準にする人も多いのではないでしょうか。
LDKはリビング・ダイニング・キッチンの略で、リビングとダイニングとキッチンの3つが1部屋に集まっている間取りを指します。数字が前に付く場合、その数字はLDK以外の居室を表しています。一見すると前に付いている数字が大きいほど家の面積が広いように感じられますが、家の中にあるのはLDKと居室だけではありませんから、4LDKの住宅より2LDKの住宅の方が広いこともあります。
以下で、2LDK・3LDK・4LDKに分けておすすめの間取りを15個紹介しますが、この紹介には坪数も表記しています。ぜひLDKと居室以外の部分にも注目して、参考にしてください。
2LDKの間取りの実例
延床面積は27.62坪ですが、間取りと収納を工夫することで坪数以上のゆとりが生まれています。玄関収納や食品庫に加え、動線にも配慮した階段下収納や小屋裏収納も備えており、整理整頓がしやすい間取りです。
- 延床面積
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27.63坪
- 設計・施工
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ウツミ工務店
3LDKの間取りの実例
間仕切りの少ない広々とした開放的な空間ですが、高断熱・高気密にこだわっており、エアコン1台による全室冷暖房で厳寒期でも快適な温度を保つことが可能です。性能だけでなく、タイルや目透かし貼りを用いるなど細部の質感にも気配りがなされています。
- 建築費(本体価格)
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2,000〜2,500万円
- 延床面積
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28.55坪
- 設計・施工
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米住建設
4LDKの間取りの実例
猛暑・厳冬でも快適な室内環境を希望して建築会社に相談し、完成した住宅です。吹き抜けが気持ちいい開放的な間取りですが、性能面でも優れており室内で温度差は感じさせません。
- 延床面積
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35坪
- 設計・施工
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石井工務店
DKとLDKの違い
間取りを調べていると、LDKの他にDKという単語を目にすることがあります。DKはダイニング・キッチンの略で、ダイニングとキッチンが1部屋になっているものです。LDKとの違いはリビングがあるかないかということになりますが、いったいどの程度の広さがあればリビングとして扱われるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
不動産公正取引協議会連合会の定める「不動産の表示に関する公正競争規約」によれば、DKとLDKの定義はそれぞれ以下のようになっています。
- DK
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台所と食堂の機能が1室に併存している部屋をいい、住宅の居室数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。
- LDK
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居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。
この定義によれば、DK・LDK以外の居室の数によってDK・LDKと表記する場合に必要な広さが変わってくるということになります。
この居室数と広さの関係については「不動産の公正競争規約集」で言及があり、以下の様に定義されています。
居室数 | DK | LDK |
1部屋 | 4.5畳 | 8畳 |
2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
DK・LDK以外の居室が1部屋しかない場合は4.5畳~7畳までがDK、8畳以上の広さがLDKという表記になり、DK・LDK以外の居室が2部屋以上ある場合は6畳~9畳までがDK、10畳以上の広さはLDKということになります。DKに満たない広さの場合は単にK(キッチン)と表記します。
後悔しないための2つの注意点
自分たちに適した間取りの考え方には様々な要素がありますが、その中でも後悔しないために重要な①動線の考え方と②収納の考え方という2つの注意点について解説します。
①動線の考え方
間取りを考える時に動線にこだわった方が良いというのはよく聞きますが、具体的にどうすればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
動線は、日常の生活において人が移動する経路を線で表したものです。日常生活において地点Aと地点Bの間を頻繁に行き来する場合、AとBの間はなるべく短く、障害物がない状態にしておくと移動が円滑になり、ストレスも感じにくくなります。
動線はどの動作を行う時の移動経路であるかによって種類が分けられます。住宅の間取りを考える時に重視されるのは、以下の5つの動線になります。
- ①家事動線
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家事動線は、洗濯・調理・掃除などの家事を行うための移動経路を指します。例えば洗濯をする場合、洗濯機から洗濯物を干す場所への移動など、すべての経路が「洗濯のための家事動線」となります。同様に調理の場合も食材の取り出しから片付けまでの移動経路のすべてが「調理のための家事動線」です。個々の作業のための動線は短いことが望ましいですが、それぞれが接続している必要があるかどうかは普段の家事の習慣によって変わってきます。
- ②生活動線
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生活動線は日常の生活動作における移動経路で、特にリビング・キッチン・トイレを結ぶ動線が重要であると言われています。この動線が複雑であるほど、室内の移動がストレスとなり不便な間取りになります。逆に、この動線を簡潔にできれば家の中を効率的に移動することができ、快適で住みやすい環境になるでしょう。
- ③来客動線
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来客動線は、来客が訪ねてきた時の移動経路です。単に経路が短い状態が良いという訳ではなく、来客を招く場所と私的な場所が適切に分離されていることが望ましいとされています。この考え方では、客間やリビングは玄関から近いところに配置し、寝室や子供部屋は玄関から離れたところに配置します。また、玄関の近くに来客が使用できるトイレや手洗い場を設置するなどの工夫も考えられるでしょう。
- ④通勤動線
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通勤動線は、朝起きて仕事や学校へ出かけるまでに通る経路を指します。朝の時間は家族全員が同時に移動することが考えられるため、家の中での人のすれ違いを減らすことができると快適な動線になります。具体的には、洗面所からもリビングからも玄関に移動できるようにする、洗面所に出入り口を2つ用意するなどの工夫が考えられます。また、玄関の近くにコートや鞄を置ける収納を設けておくと、部屋まで取りに行く必要がなくなり動きを効率化できるかもしれません。
- ⑤衛生動線
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衛生動線は、トイレや洗面所・浴室など衛生に関する場所への移動経路を指します。多人数の家庭では洗面所を広く確保し、洗面所と浴室はまとめて配置したほうが効率的な動線になるでしょう。ただし、水回りを1か所にまとめる場合はトイレの配置に注意が必要です。キッチンやリビングの近くに配置すると衛生面や個人への配慮の面で課題が生じやすいため、家族の意見を統合して妥協点を見つけることが重要になるでしょう。
これらの動線を上手に配置できるかどうかが快適な生活を送る上で重要な鍵になりますが、注意点として、これらすべての動線を完璧に配置することはほぼ不可能です。ある動線のためには部屋Aと部屋Bをなるべく近くに置きたいけれど、別の動線のことを考えると離れたところに置いた方が良いという場合、どちらの動線を重視するのか決めておく必要があります。
自分たちが生活するうえで重視する動線はどれなのか、あらかじめ話し合っておくと間取りを決める時の指針になるでしょう。
②収納の考え方
一般的に一戸建ての場合、収納の容量は住宅全体の面積に対して12~15%程度が良いと言われています。しかし、荷物の量は各個人や家族の生活様式によって大きく変わってくるため、絶対の正解はありません。以下で、各家庭に合わせた収納の量の考え方について解説します。
- ①現状の状況を確認する
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収納を考える時には、まず現在の状況を確認することが重要です。現在の自宅の収納状況を見直し、どのような収納があり、どのようなものが外に散らかりやすいかを把握するところから始めます。
具体的には、各部屋ごとの収納とその内容を確かめ、使い勝手が良いか悪いかなども含めてメモを取っておきます。また、普段の部屋の状況を撮影しておくと後で見返しながら思考を整理するのに役に立つでしょう。
写真は建築会社の担当者に間取りを相談する時にも有用です。片付けた状態ではなく普段の状態を見せ、どのような収納が不足しているか一緒に考えてもらいましょう。
- ②特定の物のための収納が本当に必要か見直す
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家に物が溢れている場合、収納が不足しているのか、収納自体はあるにもかかわらず不必要なものが占有しているのかによって対策が変わってきます。ずっと奥に仕舞いっぱなしで何年も使っていないようなものがあれば、思い切って物自体を処分することも考えましょう。
- ③大きな収納を適当に配置しない
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収納を設置する時やってしまいがちな失敗の一つが、家の隅になんとなく大きな収納場所を一つ配置して満足してしまうことです。何か作業をしたいとき、いちいち別室と行ったり来たりしなければいけないのは使いやすい収納とは言えません。また、大きな収納は多くのものを収めることができますが、過度に物を入れすぎると奥のものが取り出しにくくなり、結局そのまま何年も使わずに放置してしまうなどといったことも考えられます。
日常生活を送る上では、キッチンの近くには食器や食品用の収納、玄関には鞄やコート掛けといったようにそれぞれの場所の使用目的に合わせて小さめの収納を用意する方が使いやすいものになるでしょう。
- ④家族で収納のルールを作る
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収納の配置と同様に重要なのは、家族で収納のルールを作ることです。どこに何を片付けるべきかを全員が把握しておけば、使った人が整理整頓しやすくなります。面倒に感じるかもしれませんが、収納のルールを把握しているのが1人だけでは、他の家族はいちいちその人に確認しないと物を出したり片付けたりすることができず非常に不便です。
ルール作りのための工夫としては、収納用の箱や籠にシールを貼って収納場所を視覚的にわかりやすくするのがおすすめです。この方法であれば、子供たちも収納のルールに従って物を片付けることができるようになります。
注文住宅の間取りの決め方は、下記の記事でも詳しく解説しています。間取りの成功例やアイデアを、一級建築士によるアドバイスを交えながら紹介していますので、ぜひ本記事とあわせてご覧ください。
重要なのは自分たちの生活に合っているかどうか
間取りを考える時には動線の優先順位や収納の場所など考えなければならないことが多くあります。また、間取りや設備にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、良い点だけでなく悪い点もきっちりと把握してから導入を検討することが必要です。
間取りや設備は日々研究されており、新しい魅力的なものが次々登場しますが、どの間取りや設備であっても、一番重要なのは自分たちの生活に合っているかどうかです。家族の人数や性格は家庭によって異なりますから、まず自分たちの生活様式をしっかりと把握することが最適な間取りを考えるための第一歩になるでしょう。
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約」
- 不動産公正取引協議会連合会「不動産の公正競争規約集」
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