自由度の高い注文住宅は、建てる人のこだわり次第で建築にかかる費用が大きく異なり、完成する家のイメージが湧きにくいと言えます。そのため、家づくりを検討する人が最も気になるのは「予算内でどんな家が建てられるのか」ということではないでしょうか。
そこで、この記事では、「3,000万円」という金額に着目し、具体的な費用の内訳をはじめ、3,000万円台で建てられる家の特徴、3,000万円の住宅ローンを組むために必要な年収や工務店・ハウスメーカーの選び方まで、実際の建築事例を交えながらわかりやすく解説します。さらに、「土地込みでも3,000万円で建てられるの?」と気になる人に向けて、地域ごとの土地代や費用を抑えるコツも紹介します。
これからの家づくりの予算を「3,000万円」で考えている人は、ぜひ参考にしてください。
IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。
注文住宅は3,000万円で建てられる?費用の内訳と考え方
「3,000万円」という金額は、家を建てるのに十分な予算なのかを知るために、建築費用の全国平均と比較してみましょう。また、費用の具体的な内訳についても解説します。
建築費用の全国平均は3,863万円
住宅金融支援機構が行った「フラット35利用者調査(2023年度)」によると、注文住宅の建築費用は、全国平均で3,863万円でした。また、延床面積の平均は119.5㎡(約36坪)であり、建築費用を延床面積で割ると平均坪単価は107万円となります。
予算3,000万円は全国平均と比較するとやや少なめですが、家を建てることは十分に可能な金額と言えるでしょう。
都道府県を選択すると、各地域の建築費用の平均値が表示されます。
・建築費用:— 万円
※建築費用は延床面積や使う素材などによっても変わります。あくまでも目安として、参考にしてください。
注文住宅の建築費用の内訳
建築費用とは、建物にかかる費用だけを指すわけではなく、大きく本体工事費・付帯工事費・諸費用の3つに分かれます。各費用の詳細は以下の通りです。
本体工事費
建物の基礎や構造、外装や内装に関わる工事など、建物本体にかかる費用のことを指します。外構や配管工事など、建物以外にかかる費用は含まれません。
注文住宅の広告で目にする「建物本体価格」は、本体工事費のことを示していると考えて良いでしょう。実際に支払う総額の費用とは異なるため、注意が必要です。
付帯工事費
庭や駐車場などの外構、配管工事、造成工事といった建物以外にかかる費用を指します。本体価格や坪単価には含まれないことが多く、また、建てる土地の条件によっても金額が変わります。
例えば、既存の建物を壊してから建て替える場合は、解体するための「解体工事費」がかかります。建築を予定している土地や条件に合わせ、「何にお金がかかるのか」を把握することが大切です。
諸費用
諸費用とは、建築工事以外にかかる費用のことです。各種手続きや税金・申請費用のほか、引っ越し費用や、家具・家電の購入費などが含まれます。
クレジットカードで対応できるものもありますが、基本的には現金で支払うことが多いため、事前に用意しておくことをおすすめします。金融機関などの諸費用向けのローンを利用もできますが、返済の負担が大きくなるため注意しましょう。
本体工事費・付帯工事費・諸費用の割合は「7:2:1」が目安
これら3つの費用の割合は「本体工事費 約70%」「付帯工事費 約20%」「諸費用 約10%」 が相場と言われています。
建築費用3,000万円の場合は、本体工事費:2,100万円、付帯工事費:600万円、諸費用:300万円となり、建物自体にかけられる費用は2,000万円前後ということがわかります。
「予算3,000万円」をどう考えるか?総額別の費用内訳
一口に「3,000万円の家」と言っても、実際に建物に使える金額は2,000万円前後です。そのため、予算を決める際は費用の内訳も意識して、「総額3,000万円」か「建物の費用として3,000万円」かを明確にすることが重要です。
以下に、費用の総額を3,000万円・3,500万円・3,900万円と仮定した場合の内訳をまとめますので、予算を考えるときの参考にしてください。
費用の内訳 | 3,000万円 | 3,500万円 | 3,900万円 |
---|---|---|---|
本体工事費 | 2,100万円 | 2,450万円 | 2,730万円 |
付帯工事費 | 600万円 | 700万円 | 780万円 |
諸費用 | 300万円 | 350万円 | 390万円 |
また、本体工事費を3,000万円とした場合、総額は約4,300万円になります。本体価格や坪単価だけで予算を設定し、実際の見積もりで予算オーバーするケースは多くあるため、慎重に検討しましょう。
予算3,000万円台ではどんな注文住宅が建てられる?
ライフスタイルや好みに合わせた家を建てられるのが注文住宅のメリットですが、建築費用によって、間取りやデザイン、設備など、その内容は大きく異なります。では、建築費用3,000万円台ではどんな家が建てられるのでしょうか?
ここでは、予算3,000万円台で建てられる家の特徴を紹介するとともに、2,000万円台の家との比較をします。ぜひ、建てたい家のイメージ固めや予算決めの参考にしてください。
予算3,000万円台で建てる注文住宅の特徴
建築費用の全国平均である3,000万円台では、間取りやデザインへのこだわりをはじめ、多くの理想を実現することができるでしょう。住宅面積は30坪台が中心ですが、坪単価が安い建築会社であれば40坪以上も可能になり、二世帯住宅も建てられます。
また、部分的にグレードの高い素材や住宅設備を選択できるほか、趣味や仕事に使うスペースの確保、高気密・高断熱住宅などの性能を重視した家づくりもしやすくなります。
予算2,000万円台と3,000万円台の家の比較
土地込み3,000万円での建築を考える場合は、建築費用が2,000万円台になることもあるでしょう。そこで、価格帯ごとの家の特徴を比較してみます。
2,000万円台の家 | 3,000万円台の家 | |
---|---|---|
価格帯の特徴 | こだわりを一部反映できる 要望の取捨選択が必須 | 建築費用として平均的な価格帯 理想の家を実現しやすい |
家族構成 | 3~4人 | 4~6人 |
広さ・間取り | 25~30坪、2~4LDK | 30~40坪、3~5LDK ※二世帯住宅も可能 |
外観 | 正方形などのシンプルな箱型 | コの字型など、少し複雑な形も可能 |
建材 | 標準的な建材を使用 | 部分的に自然素材など高品質な建材を使える |
性能 | 基本的な住宅性能を確保 | 省エネ住宅など、性能重視の家づくりができる |
設備 | 一般的な住宅設備 | グレードの高い設備を一部導入可能 |
2,000万円台でも、一部に予算をかけることで高品質なものを採用できますが、それ以外の部分はグレードを下げるなど、調整が必要になることがあります。「できるだけ自由に家づくりをしたい」という人は、建築費用を3,000万円台で検討すると良いでしょう。
土地込みでも3,000万円で注文住宅を建てられる?
予算を3,000万円で考えている人のなかには、「土地代込み3,000万円でも建てられるの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。土地込みで建てる場合、建物にかける費用は3,000万円から土地代を引いた金額となるため、建築の可否は土地の価格に左右されると言えます。そこで、判断の基準となる土地の平均価格を見てみましょう。
【都道府県別】土地取得費の平均
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査(2023年)による、土地取得費の高い地域と安い地域のトップ5は以下の通りです。
土地の価格が高い都道府県トップ5(単位:万円)
東京都 | 3,825.3 |
---|---|
神奈川県 | 2,490.6 |
大阪府 | 2,217.3 |
愛知県 | 1,874.1 |
京都府 | 1,859.4 |
土地の価格が安い都道府県トップ5(単位:万円)
秋田県 | 578.7 |
---|---|
青森県 | 601.9 |
鳥取県 | 633.6 |
島根県 | 646.8 |
富山県 | 690.3 |
高い地域と安い地域を比較してみると、都市部と地方で大きな差があることが読み取れます。特に東京の平均は3,000万円を超えており、土地だけで予算オーバーしてしまう可能性が高いこともわかります。
地域によっては3,000万円でも建てられる
注文住宅を建てる際、建築費用は最低でも1,500万円程度確保しておくと良いと言われています。つまり、予算3,000万円で土地込みのケースでは、土地代を1,500万円以下に抑える必要があるということです。
このことを踏まえると、東京・大阪・愛知の三大都市圏とその近郊では、土地込みで家を建てるのは難しいでしょう。土地を探す範囲を広げたり、予算を上げたりするなど、計画を練り直す必要があるかもしれません。一方で、1,500万円以下の比較的安い地域では建築できる可能性が高いと言えます。
ただし、土地の価格は立地条件や広さによっても変動します。平均値は、あくまで予算が足りるかどうかを判断する際の目安として捉えておきましょう。
上記以外の37都道府県については、こちらをご利用ください。地域を選択すると、金額が表示されます。
・土地取得費:— 万円
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、市区町村単位で土地の相場を調べることができます。購入を検討している人は、一度利用してみると良いでしょう。
【実例写真紹介】3,000万円台の注文住宅10選〈土地抜き・土地込み〉
予算3,000万円では、実際にどんな家が建てられるのでしょうか?
ここで、イエココロの家づくりサポートサイト「自慢の注文住宅集めました。」から、建築実例を写真付きで紹介します。デザインや間取りなど、ぜひ参考にしてください。
注文住宅を建てる際、建物にかけられる費用は「土地を所有しているかどうか」で大きく異なります。この記事では「土地抜き」で家本体に3,000万円かけられる場合と、「土地込み」で家本体にかけられる費用が2,000万円前後の場合を想定し、それぞれ5つの実例を紹介します。
【土地抜き】3,000万円台の実例5選〈本体価格2,500~3,000万円〉
- 仕切りが少なく、天井まで開放的な平屋+αの家
- 薪ストーブ×ヴィンテージ家具のアメリカンスタイル
- 自然なコミュニケーションが育まれる住まい
- プライバシーに配慮されたコの字型の中庭がある家
- 「家と庭の一体感」がコンセプトの北道路の家
① 仕切りが少なく、天井まで開放的な平屋+αの家
この平屋はUa値=0.28、C値=0.36と基本性能が非常に優れています。それを活かすため、間仕切りは最小限にしています。部屋間の温度差はなく、家族がどこで過ごしているのかの把握も簡単です。さらに、複数の回遊動線が交わり、状況に応じた最短距離の移動ができるなど、全てにおいて完成度が高い住まいです。
- 建築費(本体価格)
-
2,500〜3,000万円
- 設計・施工
-
Risyou Design Works 利昌産業/群馬県
- 価格の目安
-
3,000万円~(延床面積35坪の場合)
② 薪ストーブ×ヴィンテージ家具のアメリカンスタイル
家族ならではの「ホビースタイル」と、他にはないオンリーワンのデザインを求めて辿り着いたのがブロック塀をイメージしたキッチン壁です。タイルの上から塗装することで、本物と見間違うほどの質感を表現しています。オリジナルの洗面台や薪ストーブ、こだわりのヴィンテージ家具など「男前インテリア」を意識したコーディネートが光る住まいです。
- 建築費(本体価格)
-
2,500〜3,000万円
- 延床面積
-
40.1坪
- 家族構成
-
夫婦
- 設計・施工
-
Hobby Style 角屋工業/群馬県
- 価格の目安
-
坪単価50万円~(延床面積40坪の場合)
③ 自然なコミュニケーションが育まれる住まい
以前住んでいた築50年の家で暑さ・寒さに悩まされ、「光熱費を抑えつつ、1年を通して快適に暮らせる家」にこだわって建てられた高性能住宅です。C値・UA値・VOCの測定と構造計算により、安心・安全が数値で証明されています。施主は「居心地が良いので、自然と家で過ごす時間が増えました」と満足そうに語ってくれました。
- 建築費(本体価格)
-
2,500〜3,000万円
- 延床面積
-
38坪
- 家族構成
-
夫婦、子ども1人、犬
- 設計・施工
-
コミュニケーションを育む住まい 田村工業/群馬県
- 価格の目安
-
3,200万円~(延床面積32坪の場合)
④ プライバシーに配慮されたコの字型の中庭がある家
外からの視線を遮れるようにコの字型の中庭プランにし、さらに大開口のサッシを計画することで、中と外が繋がった気持ち良い空間を実現しています。ナチュラルな雰囲気の無垢床や天井材を使用して、自然素材を肌で感じられる温もりのある家になりました。
- 建築費(本体価格)
-
2,500〜3,000万円
- 延床面積
-
44.6坪
- 家族構成
-
夫婦、子ども1人
- 設計・施工
-
ランド・フォレスト/栃木県
- 価格の目安
-
坪60万円~(延床面積40坪の場合)
⑤ 「家と庭の一体感」がコンセプトの北道路の家
北道路という立地を最大限に生かし、「建物と庭の一体感」をコンセプトに建てられた住まいです。リビングをはじめ、ダイニング・和室、浴室やトイレなどからも庭が見えるように配置することで「ゆるやかに外と繋がる空間」を演出しています。暖房器具はパネルヒーターを採用し、優しく心地良い暖かさに包まれます。
- 建築費(本体価格)
-
2,500〜3,000万円
- 延床面積
-
44.1坪
- 家族構成
-
夫婦、子ども2人
- 設計・施工
-
ヒノケン/宮城県
- 価格の目安
-
坪75万円~(延床面積40坪の場合)
【土地込み】3,000万円台の実例5選〈本体価格1,500~2,500万円〉
① 子どもたちがのびのびと暮らす家
回遊できる間取りで、家事動線の良さも抜群な住まいです。「以前は狭い家で窮屈な思いをさせていたからのびのびと過ごせる家に」という施主の願いに応え、子どもたちが遊べるスポットがいくつも点在しているため、仲良くはしゃぐ姿がリビングの“日常的な”風景となっています。
- 建築費(本体価格)
-
1,500〜2,000万円
- 延床面積
-
29.9坪
- 設計・施工
-
アオイホーム/栃木県
- 価格の目安
-
坪44万円~(延床面積36坪の場合)
② 薪ストーブを囲む無垢の家
無垢材をたくさん使い、薪ストーブや収納、色使いなどに家族のこだわりを反映しています。アイアンの物干しや床下収納を備えた小上がりの和室、玄関からつながる収納力抜群のパントリーなど、家族団らんはもちろん、家事・育児もしやすい住まいです。
- 建築費(本体価格)
-
1,500〜2,000万円
- 延床面積
-
35.8坪
- 家族構成
-
夫婦、子ども2人
- 設計・施工
-
森のめぐみ工房/宮城県
- 価格の目安
-
坪50万円~(杜の家・32坪の場合)
坪55万円~(しんみんか・31.5坪の場合)
③ 遠くからも目を惹く可愛い外観の平屋
白い塗り壁とアイアン門扉、そして三角屋根の重なりが可愛い平屋です。リビングから繋がるテラスが、お洒落な雰囲気を一層引き立てます。部屋の中心に位置する吹き抜けのリビングダイニングや、白いオーダーキッチンなど、施主の要望を余すことなく取り入れた住まいです。
- 建築費(本体価格)
-
1,500〜2,000万円
- 延床面積
-
25.8坪
- 家族構成
-
夫婦、子供3人
- 設計・施工
-
ティーテック T-tech Custom Homes Inc./群馬県
- 価格の目安
-
坪55万円~(延床面積40坪の場合)
④ 木の優しい質感や温もりが感じられる家
「木の優しい質感や温もりが感じられる住まいにしたい」という施主の要望に応え、自然素材を豊富に使用しています。スタイリッシュなデザインに無垢材や塗り壁、さらにパントリーや書斎など、たくさんの要望を取り入れながらも、建てた後の暮らしやすさと予算にも配慮された住まいです。
- 建築費(本体価格)
-
1,500〜2,000万円
- 設計・施工
-
マイホーム/群馬県
- 価格の目安
-
坪42万円~(延床面積43坪の場合)
⑤ 動線・間取りにこだわったホテルライクな家
気密・断熱性に優れ、光熱費を抑えながら一年中快適に過ごすことができる住まいです。キッチンをはじめ水回りを回遊できる動線が、日々の家事効率を向上してくれます。また、動線上にクローゼットや収納を配置したことで、自然と整理整頓できる、暮らしやすい間取りになりました。
- 建築費(本体価格)
-
2,000〜2,500万円
- 延床面積
-
32.9坪
- 家族構成
-
夫婦、子ども1人
- 設計・施工
-
石井工務店/福島県(群馬県・栃木県に支店あり)
- 価格の目安
-
坪60万円~(延床面積35坪の場合)
3,000万円の住宅ローンを組むために必要な年収は?
予算が3,000万円あれば、おしゃれな外観の家や高性能住宅など、さまざまな注文住宅が建てられます。では、3,000万円の注文住宅をローンで建てるには、どれくらいの年収が必要なのでしょうか?
ここで、「年収倍率」と「返済負担率」の2つの観点から、3,000万円の住宅ローンを組める年収を解説します。
なお、家づくりを検討する際は、頭金を用意する人がほとんどです。そのため、費用をすべて住宅ローンで借り入れるケースは少ないと言えますが、今回はわかりやすく3,000万円借り入れることを想定して計算します。
【年収倍率から求める】3,000万円の借り入れに必要な年収の目安
年収倍率とは、家づくりにかかる費用の総額を世帯年収で割った数値のことです。例えば、総額3,000万円で世帯年収が500万であれば、年収倍率は6倍になります。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2023年度)」によると、「注文住宅」で7.0倍、「土地付注文住宅」では7.6倍という結果でした。この倍率から3,000万円の融資を受けるために必要な年収の目安を求めると、以下のようになります。
住宅の区分 | 年収倍率 | 年収の目安 |
---|---|---|
注文住宅 | 7.0倍 | 約428.6万円 |
土地付注文住宅 | 7.6倍 | 約394.7万円 |
フラット35利用者調査を参考に年収倍率から考えた場合、住宅ローンで3,000万円を借り入れるケースの年収の目安は、約390~430万円ということがわかります。
【返済負担率から求める】3,000万円の借り入れに必要な年収の目安
返済負担率とは、世帯年収に占める年間返済額の割合を示します。「年間の返済額÷世帯年収×100」で求められ、無理なく返済するためには、20~25%以下にすることが理想とされています。まずは以下の条件でシミュレーションし、年間の返済額を見てみましょう。
3,000万円の借入条件(融資手数料・保証料は除く)
- 金利タイプ:変動金利0.5%、または固定金利1.7%
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス支払い:なし
- 返済期間:35年
変動金利 0.5% | 固定金利 1.7% | |
---|---|---|
総返済額 | 約3,271万円 | 約3,983万円 |
年間返済額 | 約93万6,000円 | 約114万円 |
月々の返済額 | 約7万8,000円 | 約9万5,000円 |
このとき、返済負担率を20%・25%とした場合の年収の目安は以下の通りです。
変動金利 0.5% | 固定金利 1.7% | |
---|---|---|
返済負担率20%の年収目安 | 約468万円 | 約570万円 |
返済負担率25%の年収目安 | 約374万円 | 約456万円 |
返済負担率から考えた場合、金利0.5%であれば約370~470万円、金利1.7%の場合は約450~570万円が年収の目安ということがわかります。
3,000万円の住宅ローンを組める年収の目安は400万円以上
年収倍率と返済負担率の両方を考慮すると、3,000万円のローンを組むために必要な年収の目安は400万円以上と言えるでしょう。世帯年収が400万円以下でも、負担率が基準以下であれば借りることはできますが、返済の負担が大きくなるため、注意が必要です。
また、金利や返済期間にもよりますが、返済負担率を20%以内に抑えることができれば、余裕を持ってローンを組むことができます。その場合は、世帯年収500万円以上が理想と言えます。
住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく、「無理なく返済できる金額」で考えることが大切です。試算の結果、月々の返済が負担に感じるようであれば、「頭金を用意して借り入れ額を減らす」「金利や返済期間を見直す」など、資金計画を再度検討しましょう。
返済方法や金利のタイプなど、住宅ローンについては別の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
費用の総額を3,000万円台に抑えるコツと注意点
先述の通り、予算3,000万円台であれば、さまざまな要望を叶えることが可能です。しかし、「デザインも性能もより良くしたい」と欲張りすぎると、予算オーバーしてしまう価格帯でもあります。ここで、費用を予算内に抑えるコツと、その際の注意点を紹介します。
こだわりに優先順位を付ける
限られた予算で納得のいく家を建てるためには、こだわりに優先順位を付け、譲れない点と妥協できる点を明確にすることが大切です。そうすることで、プランの変更が必要になった場合でも削る部分をスムーズに判断できるようになり、予算との折り合いが付けやすくなります。
シンプルな形・間取りにする
建物を凹凸(おうとつ)の多い複雑な形にすると、基礎や外壁、屋根の面積が増え、材料費や施工費が高くなります。そこで、平屋であれば四角形や長方形、2階建てなら1階と2階の面積が同じ「総2階」にするとコストを削減できます。「シンプルな形だと特徴が出せないのでは?」と思うかもしれませんが、外壁材の種類や色の塗り分けなど、デザインの工夫次第で洗練された印象や個性的な仕上がりにすることは十分に可能です。
また、間取りは細かく区切らず、できるだけオープンなつくりにするとコストが抑えられます。間仕切りの壁が減ることにより、開放的で奥行きのある空間になるほか、可変性も高くなり、リフォームなどに対応しやすくなります。
耐久性や性能に関わる部分のコストは削らない
できるだけコストを抑えたい場合でも、基礎や土台、構造躯体など、住宅の基本性能に関わる部分のコストは削らないようにしましょう。
外壁や内装、設備などは老朽化しても修繕や交換ができます。しかし、基礎や土台、構造躯体は家の強度に直結しており、「改良したい」と思っても後から変えることが難しい部分です。何十年という長い期間を安全に暮らすためにも、しっかりとコストをかけるようにしましょう。
補助金や減税制度を活用する
住宅を建てる際、一定の条件を満たすことで国からさまざまな補助金や減税が受けられます。建築費用の削減を考えるなら、積極的に活用すると良いでしょう。代表的なものとして、以下の制度があります。
住宅の新築で受けられる国の補助金・減税制度(令和6年度)
補助金 | 概要・条件 |
子育てエコホーム支援事業 | 長期優良住宅やZEH水準住宅を新築すると補助金が受け取れる 子育て世帯・若者夫婦世帯(※)が対象 【長期優良住宅】100万円/戸、【ZEH水準住宅】80万円/戸 |
令和6年度 ZEH補助金 | ZEH水準の住宅を新築すると補助金が受け取れる 登録されたZEHビルダー/プランナー(ハウスメーカー・工務店)の設計・施工する住宅が対象 【ZEH】55万円+α/戸、【ZEH+】100万円+α/戸 |
減税 | 概要・条件 |
住宅ローン減税(所得税) | 住宅ローンを借り入れて、条件を満たす住宅を新築した場合、最大で13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税(一部、翌年の住民税)から控除される長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準住宅、省エネ基準適合住宅が対象 |
贈与税非課税措置 | 住宅の新築に際し、贈与を受けた場合に一定額まで贈与税が非課税になる父母や祖父母などの直系尊属からの贈与が対象 ZEH水準住宅を新築する |
※子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯、若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
国の制度を利用する場合は、住宅性能などの条件をしっかりと確認しましょう。そのほか、募集期間が決められていたり、予算の上限に達して受付が終了したりする場合もあるため注意が必要です。また、自治体でも独自の制度を設けていることがあります。建築予定の自治体の情報も、事前にチェックすることをおすすめします。
ZEH、長期優良住宅、認定低炭素住宅について
- ZEH(ゼッチ)
-
実質的なエネルギー消費量がゼロ以下になる住宅「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」のことで「ゼロ・エネルギー住宅」とも呼ばれます。住宅の性能を高めて日常の消費エネルギー(電気やガス)を減らしつつ、太陽光発電などによりエネルギーを創り出すことで「創出エネルギー≧消費エネルギー」を実現します。エネルギー消費量の削減割合などに応じて、「ZEH」「ZEH +(ゼッチ プラス)」「Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)」「Nearly ZEH +(ニアリー ゼッチ プラス)」「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」の5つに分類されます。
参考:資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅」
- ZEHビルダーまたはプランナー
-
ZEH住宅を建てることを認定されたハウスメーカーや工務店のことです。ビルダーとプランナーは事業者の業種によって分かれ、建設会社は「ビルダー」、設計事務者は「プランナー」として登録されます。
- 長期優良住宅
-
国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、「長く安心・快適に暮らせる」と認定を受けた住宅のことです。以下の基準を満たすことで認定されます。
- 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 居住環境等への配慮を行っていること
- 一定面積以上の住戸面積を有していること
- 維持保全の期間、方法を定めていること
- 自然災害への配慮を行っていること
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは」
- 認定低炭素住宅
-
CO2排出削減を目指して、環境に配慮した仕組みや設備を導入した住宅を指します。再生可能エネルギーの利用設備や断熱性能など、いくつかの条件を満たすことで所管行政庁(都道府県、市又は区)から認定を受けると認められます。認定基準は以下の通りです。
- 省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量がマイナス20%以上となること
- 再生可能エネルギー利用設備が設けられていること
- 省エネ効果による削減量と再生可能エネルギー利用設備で得られるエネルギー量の合計値が、基準一次エネルギー消費量の50%以上であること(一戸建ての住宅の場合のみ)
- その他の低炭素化に資する措置が講じられていること
参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「低炭素建築物とは」
2022年に「建築物省エネ法」が改正され、「2025年4月以降に着工する全ての新築住宅に〈省エネ基準〉への適合」が義務付けられました。つまり、「2025年4月以降は、一定の基準以上の省エネ性能を持つ住宅しか建てられない」ということです。さらに、2030年には「ZEH水準以上」に基準を引き上げることも予定されています。
一定の性能をクリアするためには、どうしても費用がかかります。そのため、コストを抑えたい場合には、性能向上に費用を充てることをためらうかもしれません。しかし、上記の補助金や減税が受けられるほか、「光熱費を節約できる」「耐久性が高い」などのメリットもあります。また、2030年に予定される基準の引き上げを考慮すると、将来的な資産価値の観点から考えても、ZEH水準以上で建てる方が良いと言えるでしょう。
国土交通省が配布する「待って!家選びの基準変わります」で、家の性能を高める重要性を学ぶことができます。漫画形式でわかりやすく解説されているため、性能について知りたい人は、ぜひ読んでみてください。
参考:国土交通省「建築物省エネ法について」
工務店やハウスメーカーの探すときのポイント
予算内で理想の家を建てるためには、自分たちに合った建築会社を選ぶことが重要です。依頼先を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
予算に合った工務店・ハウスメーカーを探すポイント
坪単価を参考にする
予算が3,000万円と決まっている場合、「坪単価」を目安に建築会社を探すのも1つの手段です。坪単価は、希望する延床面積(坪)で予算を割ることで計算できます。例えば、3,000万円で30坪の家を建てたい場合は100万円です。
ただし、工務店やハウスメーカーが公表する坪単価は「本体工事費(建物本体価格)のみ」であることが多いです。また、プランやオプションによっても変動します。あくまで目安として捉え、付帯工事費や諸費用とのバランスも見ながら検討するようにしましょう。
自分たちの理想を実現できるか
工務店・ハウスメーカーは、会社ごとに得意分野が異なります。そのため、それぞれの特徴を知り、自分たちのこだわりに合う会社を見つけることが、理想の家を建てる近道と言えるでしょう。
会社を探す際は、ホームページやSNSなどで過去の建築実例や得意分野を調べるだけではなく、展示場やモデルハウスで実際の建物を確認することも大切です。会社によっては宿泊体験などができる場合もあるため、機会があれば性能などを体感してみると良いでしょう。
会社の雰囲気や担当者との相性
契約した会社との付き合いは、家が完成するまでではなく、入居してからも何十年と続きます。そのため、担当者と信頼関係が築けなければ、さまざまな場面でトラブルが起こる可能性があります。
会社に足を運んで雰囲気を確認するのはもちろん、「要望が伝わっているか」「プロ目線での提案があるか」など、人柄や知識、提案力などもチェックすることをおすすめします。
まとめ
注文住宅を3,000万円の予算で建てる場合、土地があるかないかによって、建てられる家のイメージが大きく変わります。
土地抜きで予算が3,000万円あれば、ある程度理想の家が建てられます。それでも欲張りすぎると予算をオーバーしてしまうため、こだわりに優先順位を付け、予算とのバランスを見ながら家づくりを進めてください。
一方、土地込みの場合は、土地代を1,500万円以下に抑えることで建てられる可能性が高まります。土地の価格が高い地域では難しいため、土地を探すエリアを広げる、予算を見直すなど、計画の練り直しも検討してみましょう。
この記事で紹介した費用の内訳や年収の目安、建築実例などを参考に、自分たちに合った家づくりの計画を立ててください。
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