【注文住宅】予算1,000万円台の間取りと実例紹介:ローコストで家を建てられる工夫とは

【注文住宅】予算1,000万円台の間取りと実例紹介:ローコストで家を建てられる工夫とは

注文住宅は自分たちの希望に合わせた自由度の高い設計ができるところが魅力ですが、予算内でどのような家が建つのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

また、予算は少ないけれど快適な間取りや住み心地の良い家を諦めたくないので、良い方法を探しているという人もいるかもしれません。

本記事では1,000万円台の予算に注目し、1,000万円台の注文住宅の特徴やメリット・デメリット、間取り・実例の紹介から低予算で家を建てるための工夫までご紹介します。 ぜひ、注文住宅の予算計画を立てる時の参考にしてください。

この記事を書いた人

IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。

目次

1,000万円台の注文住宅の特徴とメリット・デメリット

1,000万円台の注文住宅の特徴

国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、注文住宅の平均価格は新築で4,034万円です。注文住宅はこだわると予算がどんどん膨らむため、平均価格は高額なものに引っ張られて上がる傾向にありますが、それでも 1,000万円台は平均と比べて低めの予算となります。1,000万円台で建築するためには費用を切り詰める必要があり、平均的な注文住宅よりも間取りや性能、設備に制限が加わります。

 注文住宅の住宅建築資金
(土地購入資金を除く)
4,319万円4,034万円(新築)
5,745万円(建て替え)
土地購入資金1,929万円
 住宅建築資金と土地購入資金の総額5,811万円

一般的に低い予算で建てる注文住宅には、以下の特徴があります。

間取り

規格化することで費用を削減しているため、型が決まっている

デザインや外観・形状

凹凸(おうとつ)が少なく、余計なものがない

住宅設備や建築部材

低価格帯専用の規格品や、前年の型落ち品を使用する

打ち合わせの回数

通常と比べて少なくすることで、人件費を抑える

1,000万円台の注文住宅のメリット・デメリット

1,000万円台の住宅を建設することで得られる主なメリットは以下の3つです。

  1. 土地に多くの購入費用を割り振れる:家と土地にかける全体の予算の中で家にかける費用を少なくすることで、土地の購入費用を増やすことができ、より良い条件の土地を買うことができます。通勤・通学の利便性を向上させたり、商業施設への交通の便を良くしたりすることで生活環境を充実させることが可能です。
  2. 教育費や娯楽費を増やせる:家にかける費用を節約することにより、教育費や娯楽費などの生活の質を向上させるための費用を増やすことができます。
  3. 貯金や保険、投資運用資金が確保できる:家にかける費用を少なくすることで、老後の資金や病気・事故に備えるための資金を確保することが可能になります。また、建物の価値は経年で減っていきますが、土地の価値はほとんど変わらないため、家よりも土地に費用を割り振った方が長期的な資産の運用方法として効率が良いという見方もできます。

1,000万円台の住宅を建設することで考えられる主なデメリットは以下の3つです。

  1. 間取りやデザイン、住宅性能に制約がある:費用を切り詰めるため、間取りやデザイン・住宅性能に制約が生じます。多くの希望条件を叶えるのは難しいでしょう。
  2. 手厚いサポート体制は望めない:打ち合わせの回数を減らして人件費を節約しているため、営業担当者のサポートが不足していると感じることがあるかもしれません。
  3. 維持や管理・保守費用が多くかかる可能性がある:建築資材や施工方法に制約があるため、維持や管理・保守費用が一般的な注文住宅より多くかかる可能性があります。

1,000万円台の住宅の建築を計画する時には、上記のようなメリット・デメリットを踏まえた上で、自分の希望に沿った予算計画をしっかり立てることが重要です。

1,000万円台の注文住宅の間取りと実例紹介【平屋・二階建て】

単に1,000万円台の家と聞いても、実際にどのような家が建つのかイメージするのが難しい人も多いのではないでしょうか。

以下で、地域の工務店情報のほか多数の建築実例とイベント情報を紹介しているWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」より抜粋した1,000万円台の注文住宅の間取りと実例を紹介します。ぜひ、注文住宅の建築計画の参考にしてください。

1,000万円台の平屋の実例紹介

1,000万円台の平屋の注文住宅を、1,000~1,500万円台と1,500~2,000万円台の2つの価格帯に分けて紹介します。

1,000~1,500万円台

周囲の景観との一体感が魅力的!自然素材をふんだんに使った約22坪の平屋

1000万円台の家のリビングの実例写真

緑豊かな庭に面した壁に大きな窓を設置することで、室内にいながら周囲の景観と一体になったような感覚が得られる住まいです。家の中のどこからでも外の景色が眺められるようになっているため、四季の移り変わりが身近に感じられます。

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1000万円台の家の外観の実例写真
玄関横の木製ルーバー(外部からの目線や日光、風雨などを遮ることを目的に設置される、細長い板上の部材を平行に複数並べたもの)でプライバシー保護とデザイン性の高さを両立
1000万円台の家の和室の実例写真
二面開口で落ち着いた雰囲気の和室。天井はスギ板張り
1000万円台の家の造作の洗面台の実例写真
木と陶器を組み合わせた、和風でお洒落な造作の洗面台
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,000〜1,500万円

延床面積

22.06坪

設計・施工

髙橋材木店 タカハシホーム

家族好みのヴィンテージテイストを平屋で表現!夫婦2人で暮らす、ちょうどよいサイズの平屋

1500万円以下のヴィンテージテイストの平屋実例の外観

外観はシンプルでスッキリとした印象ですが、ウッドデッキやアウトドアストッカー(外土間収納)が付いていることで、実用的かつ遊び心が感じられる作りになっています。インテリアはヴィンテージスタイルで、夫婦が以前から愛用しているお気に入りのショップの家具がベースです。

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薪ストーブが配置されたリビング
開放的な間取りですが、中心に配置された薪ストーブがやわらかなぬくもりで住まい全体を包み込んでくれます
ダイニングをアイランドキッチンに隣接したスタイルのLDK
ダイニングをアイランドキッチンに隣接させることで、配膳や片付けが便利に
ドアのないアトリエのような部屋
ドアがないつくりのアトリエ的な1室は、お互いを近くに感じながら1人で集中もできる、2人暮らしには大事な空間
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,000〜1,500万円

延床面積

27.50坪

設計・施工

アットナチュレ

1,500~2,000万円台

インダストリアル×カフェスタイル!夫婦2人で暮らす、見た目も住み心地も追及した平屋

1000万円台の家のリビングの実例写真

外観は片流れの屋根に墨色の塗壁、セメントの風合いを活かしたSOLIDOの壁で高級感のある仕上がりです。見た目だけでなく構造・家事動線・住み心地も同時に追求しており、リビングは落ち着きのある配色の壁と木目の美しい無垢材の床により、ホテルのような空間になっています。

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1000万円台の家の外観の実例写真
軒を深くすることにより夏は涼しく、雨が降っても窓が開けられるため空気がこもらなくなっている
1000万円台の家のウォークインクローゼットの実例写真
洗濯物を干したら、そのまま収納することが可能になっているこだわりの家事動線
1000万円台の家のダイニングキッチンの実例写真
壁の配色をリビングと変えることで空間にメリハリが生まれたダイニングキッチン
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

延床面積

28.5坪

設計・施工

Smooth(スムース)

アンティーク風の照明がお洒落な空間を演出!家族4人で暮らす、格子窓が可愛い平屋

1000万円台の家の外観の実例写真

白い塗り壁に3つ並んだ格子窓が可愛らしい、シンプルながらも美しい外観の平屋です。玄関土間は吹き抜けになっており、吹き抜けから下がるアンティーク風のペンダントライトや間接照明がお洒落な空間を演出しています。

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1000万円台の家のリビングの実例写真
南側から差し込む陽の光で暖かい室内
1000万円台の家の洗濯室の実例写真
淡い水色が爽やかな印象を与える洗濯室
1000万円台の家のキッチンの実例写真
キッチンの床は掃除しやすく手入れが楽なタイル張りになっている
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

延床面積

24.5坪

設計・施工

ティーテック T-tech Custom Homes Inc.

1,000万円台の二階建ての間取りと実例紹介

1,000万円台の二階建ての注文住宅を、1,000~1,500万円台と1,500~2,000万円台の2つの価格帯に分けて紹介します。

1,000~1,500万円台

木の温もりをベースにホワイト×シルバーをミックスしたシンプルな「北欧ナチュラル」の家

1000万円台の家の外観の実例写真
1000万円台の家の間取り図の実例

敷地面積39坪・延床面積22.5坪というコンパクトな作りですが、吹き抜けを作り間取りを工夫することで、開放感のある明るい室内を実現している住まいです。

外壁はガルバリウムですが、白一色にすることでどこか優しい雰囲気を漂わせています。

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1000万円台の家のリビングの実例写真
吹き抜けの効果で明るい室内
1000万円台の家のキッチンの実例写真
キッチンは壁側に取り付けて空間を有効活用
1000万円台の家のロフトの実例写真
1階全体が見渡せるロフト
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,000〜1,500万円

延床面積

22.5坪

設計・施工

かなう家

自然素材+カリフォルニアスタイル!家族4人で暮らす、アメリカンテイストな家

1000万円台の家の外観の実例写真
1000万円台の家の間取り図の実例

ラップサイディングの白い外壁がアメリカンテイストを醸し出している外観で、銀色のフェンスが世界観を強調しています。

タイル張りのアイランドカウンターや漆喰の壁、落ちついた木目などのヴィンテージと自然素材を組み合わせて西海岸のカリフォルニアスタイルを演出しており、吹き抜けの高さを活用したリビング階段が開放感に一役買っている作りです。

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1000万円台の家のアイランドカウンターの実例写真
家族とのコミュニケーションも取りやすいタイル張りのアイランドカウンター(キッチンの一部または全部を、離れ小島のように独立させたキッチンカウンター)
1000万円台の家の子供部屋の実例写真
自然素材に包まれた子供部屋
1000万円台の家のパントリーの実例写真
弧を描く入口が可愛いキッチン横のパントリー(食料品や食器などの収納場所)
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,000〜1,500万円

延床面積

28.9坪

設計・施工

アットナチュレ

1,500~2,000万円台

かわいい×おしゃれ!家族3人で暮らす、動線にもこだわった毎日が楽しい住まい

1000万円台の家の外観の実例写真

ラップサイディングの外壁は暗めの配色にすることでデザインが引き締まり、ナチュラルな可愛らしい雰囲気だけでなくお洒落さも演出しています。格子窓もアクセントとして際立つ外観です。

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1000万円台の家の廊下のニッチの実例写真
三角屋根風で可愛らしい廊下のニッチ(飾り棚として壁の一部をへこませた部分)
1000万円台の家の廊下の収納の実例写真
2階の廊下は一面が収納で、空間を無駄にしない設計
1000万円台の家のリビングの実例写真
開放的で明るい吹き抜けのリビング
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

延床面積

27.5坪

設計・施工

アオイホーム

自然素材×インダストリアル!家族4人で暮らす、コンパクトながら開放感のある家

1000万円台の家の外観の実例写真

黒の鋼板に落ち着いた色合いの木を組み合わせた和風でお洒落な外観の住まいです。吹き抜けやスキップフロアなどにより、コンパクトな建物からは想像できない開放感があります。

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1000万円台の家のキッチンの実例写真
デザインはもちろん、使いやすさにもこだわった特注のキッチン
1000万円台の家の吹き抜けの実例写真
自然素材と工業製品が調和するデザイン
1000万円台の家の吹き抜けの実例写真
大きなはめ殺しの窓と吹き抜けで、家中に光が行き届くように設計された採光計画
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

延床面積

30.20坪

設計・施工

山一ハウス

縦空間のつながりが実際以上の広さを演出!家族5人で暮らす、薪ストーブを中心に囲む家

1000万円台の家の外観の実例写真
1000万円台の家の間取り図の実例

大きな吹き抜けと薪ストーブを中心に配置した間取りで、縦方向に空間をつなげたことで実際以上の広がりがあるように感じられます。

「子どもたちが自然の恵みを感じながら、成長できる家」が設計コンセプトです。

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1000万円台の家の畳の間と床下収納の実例写真
引き戸で独立可能な畳の間。床下収納が設置されている
1000万円台の家の小屋裏を活用したロフトの実例写真
小屋裏を有効活用したロフト
1000万円台の家の土間の実例写真
家族で埋め込んだビー玉やビーチグラス、おはじきの飾り
建物・工務店情報
建築費(本体価格)

1,500〜2,000万円

延床面積

25.79坪

設計・施工

想いをデザインする negla設計室

大手ローコストハウスメーカー3選

上記の実例・間取り紹介では地域密着型の工務店の実例を紹介しましたが、低価格帯の注文住宅に特化して全国展開をしている大手ハウスメーカー、いわゆるローコストハウスメーカーも数多く存在します。

低価格帯だからといってどれも同じなどということはなく、各会社で力を入れている分野や得意な工法は違います。以下で代表的な特徴のあるローコストハウスメーカーを3社紹介しますので、建築会社選びの参考にしてください。

①タマホーム

タマホームは、ローコストハウスメーカーの中で最も知名度が高く、 施工棟数も多い会社です。

森林組合や林業者・製材工場などと直接つながる独自の流通システムによる安定した価格での国産木材の入手と、現場管理会社を通さない施工の直接管理により、工期の短縮と建築費用の削減を実現しています。施工範囲も広く、47都道府県で建築が可能です。

②アイフルホーム

アイフルホームは、FC(フランチャイズシステム)を採用している会社です。 フランチャイズシステムとは、本部と加盟店が契約を結び、本部から加盟店に対して商標の使用権や商品・サービスの販売権、経営のサポートなどが与えられる代わりに、加盟店は本部に対して加盟金や商標の使用料などを支払うシステムです。

FCを採用することにより、優れた商品力・開発力を持つハウスメーカー、きめ細やかな対応力が魅力の工務店、両方の特徴を併せ持った会社となっています。

また、アイフルホームFCを運営する株式会社LIXIL(リクシル)住宅研究所は、キッチン・バス・トイレなどの大手メーカーとして知られるLIXILのグループです。これにより、機能性やデザイン性が高い住宅設備を安く取り入れることが可能になっています。

③アイダ設計

アイダ設計は、不透明さがなくわかりやすい「正直価格」を掲げるハウスメーカーです。第三者機関による施工品質チェックを行っており、35年保証のアフターサービスを付けることができます。また、狭小地での設計に強く、土地が狭いからといって設計料を上げるということがありません。

木材の仕入れを自社で行い、所有しているプレカット工場で加工・管理を行うことにより、現場作業の効率化と建築費用の削減を実現しています。

1,000万円の家を建てるためのコストカットのコツ8個

1,000万円台の注文住宅を建てるためのコストカットのコツ8個

注文住宅は様々な希望条件を自由に盛り込めるところが魅力ですが、予算には限りがありますから、優先順位をつけて取捨選択することが必要です。しかし費用を闇雲に削っても、理想の家からは遠ざかってしまいます。

以下で、予算内で建てるための8つのコツを紹介しますので、参考にしてください。

建物の形状についてのコツ
床面積を減らす

建築費用は「坪単価×床面積」で計算されるため、大きな家ほど建設費用は高くなります。大手ハウスメーカーの坪単価は60〜80万円程度ですので、一坪減らすだけでも数十万単位でコストダウンできるということになります。廊下の長さや部屋の大きさ、必要な設備の数を考え直して床面積を減らすことができないか検討してみましょう。

注意点として、ベランダ・玄関ポーチ・地下室などを含んだ面積である「施工床面積」と含まない面積である「延床面積」のどちらの方法で計算しているかは建築会社によって違いますので、必ず確認してから検討しましょう。

建物の凹凸を減らす

家の外壁に凹凸が多いほど外壁の量が増え、それに伴い費用も増加します。出っ張ったりへこんだりしている部分には補強が必要な場合があるため、構造的にもシンプルな四角い形状の家のほうがコストが低いです。

特に、1階と2階がほぼ同じ面積・作りをした総2階の家を建てると、建築費用を抑えることができます。この形状は耐震性や防災面でも利点があります。ただし、変形地や狭い土地に建てる場合、総2階の建築が難しいこともあるため、地形や条件に合わせて考える必要があります。

屋根を簡単な作りにする

屋根の形状にはいろいろな種類がありますが、二等辺三角形のような形の切妻屋根、一方向に向かってのみ傾斜がついている片流れ屋根などのシンプルで安価なデザインを選ぶと予算を圧迫しません。ただし、屋根の勾配によっては工事の際に足場が必要になり余計な費用がかかる場合があるため、注意が必要です。

間取りについてのコツ
部屋の数を少なくする

せっかく家を作るなら家族の数だけ個室を作りたいと考えるかもしれませんが、部屋数を増やすと建具や壁がその分必要となり、費用がかさんでしまいます。予算を削減する観点から見れば、部屋数をできるだけ少なくすることがおすすめです。

新築段階では子ども部屋は1つにして大きくなったら間仕切りを追加できるように設計したり、階段はリビングの中に設置したりするなど、できるだけシンプルで少ない部屋数にできるよう計画しましょう。

窓の数を減らす・小さくする

窓の数が増えたりサイズが大きくなったりすると、その分だけ費用は増えます。たくさんの窓や大きな窓があると部屋が明るくなって開放感が生まれ、換気もしやすくなりますが、一方で断熱性は低下し、冷暖房費は増えることになります。

窓の数と大きさを検討する時には、これらのメリットとデメリットを考慮し、本当に必要なのかを判断しましょう。

和室ではなく洋室にする

和室は洋室に比べて建築コストが高く、さらに畳の張り替えなどのメンテナンス費用がかかるため、和室を作らない家も増えています。和室を洋室にすると、100万円単位の予算の節約が期待できます

畳の部屋が欲しい場合は、リビングの一角に小さな畳コーナーを設ける選択肢もあります。予算と好みを考慮して検討してみましょう。

設備についてのコツ
設備のグレードを落とす

最新の設備は魅力的ですが、多くの場合、10〜15年後には買い替えや修理が必要になります。型落ち品を使用したり、標準仕様で済ませることも検討しましょう。

どうしても最新設備を取り入れたい場合は一つに絞ってその他の設備は標準仕様にするなど、メリハリをつけて予算計画を立てましょう。

水回りはまとめる

水回りの位置をまとめると、給排水管を短くできるため費用削減につながります。キッチン、バスルーム、トイレ、洗面所などをできるだけ近い場所に配置するか、2階のトイレを1階の真上に設置するなどの工夫をすることで、コストを抑えつつ便利な生活動線を実現できます。

快適な生活に必要な居住面積

誘導居住面積水準

上記コストカットのコツ紹介では床面積を減らす方法を紹介しましたが、そうはいってもあまりにも居住面積が少ないと生活が窮屈になってしまうかもしれません。快適な生活を送るための居住面積については様々な考え方がありますが、国の策定した「住生活基本計画」では、誘導居住面積水準というものが定められています。

誘導居住面積水準は、豊かな住生活の前提となる多様な生活様式に必要と考えられる住宅の面積に関する水準です。都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した都市居住型誘導居住面積水準と、都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した一般型誘導居住面積水準に分けて計算されます。

住生活基本計画の都市居住型誘導居住面積水準と一般型誘導居住面積水準
誘導居住面積水準
都市居住型誘導居住面積水準

都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した水準

単身者は40㎡、2人以上の世帯は20㎡×世帯人数+15㎡で計算する

一般型誘導居住面積水準

都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した水準

単身者55㎡、2人以上の世帯は25㎡×世帯人数+25㎡で計算する

上記の計算式で算出した結果をまとめたものが以下の表になります。なお、この計算式における世帯人数の考え方として、3歳未満は0.25人、3歳以上6歳未満は0.5人、6歳以上10歳未満は0.75人として扱います。ただし、算出された世帯人数が2人に満たない場合は2人として考え、4人を超える場合は算出された面積から5%引いて考えます。

世帯の人数単身2人3人4人
誘導居住面積水準都市居住型40㎡(約12坪)55㎡(約17坪)75㎡(約23坪)95㎡(約29坪)
一般型55㎡(約17坪)75㎡(約23坪)100㎡(約30坪)125㎡(約38坪)
住生活基本計画より抜粋。坪数の換算は小数点以下を四捨五入して表記

一例として、夫婦と子供2人の4人家族の例を考えてみましょう。都市の郊外に注文住宅の一戸建てを建てたい場合、一般型誘導居住面積水準に基づくと必要な面積は25㎡×4+25㎡=125㎡(約38坪)です。ただし、子供の年齢を仮に2歳と5歳と想定すると、2歳は0.25人、5歳は0.5人換算ですので25㎡×2.75+25㎡=93.75㎡(約28坪)となります。

坪数で表記されても具体的なイメージがわからないという人は、1畳単位で考えると良いかもしれません。畳については実は地域ごとに大きさに差があるのですが、不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」では、1畳=1.62㎡と定められています。1.62㎡は約0.5坪ですので6畳間は約3坪、8畳間なら約4坪です。

単位の換算表
1畳1.62㎡約0.5坪
6畳9.72㎡約3坪
8畳12.96㎡約4坪
12畳19.44㎡約6坪
15畳24.3㎡約7坪
20畳32.4㎡約10坪
24畳38.88㎡約12坪

家族4人にそれぞれ6畳間を用意したいと考えると約12坪必要ということになります。これだけ見ると余裕があるように感じられますが、家には居室だけでなく最低限玄関・台所・風呂・トイレが必要ですし、それらをつなぐ廊下や階段の面積も考えなくてはなりませんので、用意できる土地の広さに制限がある場合は間取りを工夫する必要が出てくるでしょう。

最低居住面積水準

住生活基本計画では、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準として最低居住面積水準も定められています。誘導居住面積水準が満たせなくても、最低限こちらの水準は達成したほうが良いでしょう。

最低居住面積水準の計算式は単身者25㎡、2人以上の世帯は10㎡×世帯人数+10㎡です。こちらも誘導居住面積水準と同じく3歳未満は0.25人、3歳以上6歳未満は0.5人、6歳以上10歳未満は0.75人として扱います。算出された世帯人数が2人に満たない場合は2人として考え、4人を超える場合は算出された面積から5%引いた数字を結果とします。

世帯の人数単身2人3人4人
最低居住面積水準25㎡(約8坪)30㎡(約9坪)40㎡(約12坪)50㎡(約15坪)
住生活基本計画より抜粋。坪数の換算は小数点以下を四捨五入して表記

1,000万円の家を建てて後悔しない?気になるポイントQ&A

注文住宅を建てる時の費用として1,000万円台は低めの予算ですから、安全性などについて不安や疑問がある人も多いのではないでしょうか。特に気になる人が多いと考えられるポイント3つについて、Q&A形式で紹介します。

1,000万円台で平屋は建てられますか?

1,000万円台でも平屋の建築は十分可能です。建築会社によって平屋建てを得意とする会社と二階建てを得意とする会社があるので、ホームページの施工事例などから確認してみましょう 。

ローコストハウスメーカーの施工であることは、家の外観からわかってしまうでしょうか?

多くの予算をかけた注文住宅でも素朴なデザインを好む人はいるので、単純な外観だけではほとんど判断はできません。ただし、多くの人が検討する大手ローコストハウスメーカーの規格化された製品の場合、同じ製品を選択肢に入れたことがある人にはわかることもあるでしょう。

1,000万円台の注文住宅でも、長く住み続けることはできますか?

1,000万円台の注文住宅であっても、長期優良住宅の認定を受けた家を建てることは可能です。建築会社を選ぶ時に、長期優良住宅に対応しているか確認してみましょう。

【2024年度】1,000万円の家を買う時に利用できる補助金の例

住宅を建てる時は、決められた条件を満たすことで国の補助金・助成金制度を利用できる場合があります。上手に活用することで、実際には1,100万円の住宅が1,000万円で購入できるかもしれません。

以下は2024年度に利用できる国による補助金の一例です。国の補助金は多くが先着順ですので、利用しようと思ったら終わっていたということがないよう注意しておきましょう。また、補助金をどれか一種類申請した場合、原則として支援対象が同一の時は他の補助金を申請することはできません。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯に対して高い省エネ性能を有する新築住宅の取得を支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯の省エネ投資の下支えを行う事業です。

対象者
  • 申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する子育て世帯
  • 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた若者夫婦世帯
補助金額
  • 長期優良住宅の場合、1住戸につき100万円
  • ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準住宅の場合、1住戸につき80万円
申込期限

2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)

給湯省エネ2024事業

給湯省エネ2024事業は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の導入支援を行い、その普及を拡大させることを目的とする事業です。

対象者
  • 対象機器を設置する住宅の所有者や家族であり、給湯省エネ事業者と契約を締結し、指定の方法により対象機器である高効率給湯器を導入する人
補助金額
  • ヒートポンプ給湯機(エコキュート)を導入する場合、1台につき8万円
  • 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)を導入する場合、1台につき10万円
  • 家庭用燃料電池(エネファーム)を導入する場合、1台につき18万円

戸建て住宅の場合、いずれか2台まで補助金の申請対象です。また、それぞれ通常より高い性能要件を満たしている場合、さらに追加で補助金が加算されます。

申込期限

2023年11月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM戸建住宅部門

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM戸建住宅部門は、戸建住宅において建設時・運用時・廃棄時に出来るだけ省CO2に取り組み、太陽光発電などの再生可能エネルギーの創出によってCO2の収支をマイナスにするLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅の新築を支援する事業です。

対象者
  • 指定の基準を満たしたLCCM住宅を建てる人
補助金額
  • 設計費と建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用の合計金額の2分の1(上限は1住戸につき140万円)
申込期限

2024年5月17日~2025年1月20日

地域型住宅グリーン化事業(予定)

地域型住宅グリーン化事業は、地域における資材供給・設計・施工などの連携体制による良質な木造住宅の整備や地域の中小工務店等による長期優良住宅等の整備、それと併せて行う三世代同居対応工事への支援を行う事業です。

対象者
  • グループ登録された地域の工務店で、地域木材を使用した一定の性能以上の条件を満たした住宅を建てる人
補助金額
  • 1住戸につき上限140万円
申込期限

現在直近の公募は締め切られています。しかし令和6年度住宅局関係予算概算要求概要に地域型住宅グリーン化事業が組み込まれているため、今後新たな公募が発表される可能性が高いです。

戸建住宅ZEH化等支援事業

戸建住宅ZEH化等支援事業は、年間の一次エネルギー消費量が実質的にゼロとなることを目指した住宅(ZEH)や、ZEHよりさらに上の性能を目指したZEH(ZEH+)の戸建住宅を新たに建築または購入することを支援する事業です。

対象者
  • 登録されたZEHビルダー/プランナーが建築・設計・販売する、条件を満たしたZEHに該当する住宅を建てる人
補助金額
  • 1住戸につき55万円または100万円

指定された特定の設備を導入すると、さらに金額が加算されます。

申込期限

単年度公募:2024年4月26日~2025年1月7日まで
複数年度公募:2024年11月5日~2025年1月7日まで

上記の例は国の補助金ですが、この他に都道府県や市町村単位で独自の補助金や助成金を出している場合があります。家の建築・購入をする時は、住んでいる地域や検討している地域で独自の制度があるかどうか事前に確認してみましょう。

住宅ローン減税

補助金ではありませんが、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する住宅ローン減税という制度があります。

ただし、条件として省エネ基準を満たす住宅である必要があります。住宅の性能によって住宅ローン減税の借り入れ限度額が変動し、申請には省エネ基準以上適合の「証明書」が必要です。

住宅ローンの金利や年収・借入金額にもよりますが、住宅ローンの利子返済金額よりも住宅ローン減税による控除金額の方が大きくなる場合もあります。

希望条件の優先順位をはっきりさせ、慎重に予算計画を立てよう

予算が限られた状況で注文住宅を建てる時には、希望条件の明確な優先順位付けと慎重な予算計画が必要です。平均よりも低めの予算であるとはいえ、1,000万円は大きな金額です。後悔することがないように、最初の計画をしっかり練りましょう。

家族の希望や生活様式を考慮して家の各部分に対する希望や必要性を整理し、何を優先するかをはっきりさせることが重要です。自分たちだけでは考えられる内容に限界がありますから、ある程度要望が固まったら建築会社を選定して相談し、予算内で実現可能な要素が何なのか聞いてみることも建築計画の役に立つでしょう。

必要な要素に重点を置きつつ、担当者との協力を通じてしっかりとした計画を立てることが理想の住宅を手に入れることにつながります。

参考文献
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅を建てるなら

イエココロのWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、群馬・栃木・宮城・山形を中心とした工務店情報やモデルハウス情報のほか、多数の「建築実例」を紹介しています。お近くにお住まいの方は、ぜひチェックしてください。

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