注文住宅は自分たちの希望に合わせた自由度の高い設計ができるところが魅力ですが、予算内でどのような家が建つのかわからず悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
また、予算は少ないけれど快適な間取りや住み心地の良い家を諦めたくないので、良い方法を探しているという人もいるかもしれません。
本記事では1,000万円台の予算に注目し、間取り・実例の紹介から1,000万円台で建てられる注文住宅の特徴やメリット・デメリット、ローコストで家を建てるための工夫までご紹介します。 ぜひ、注文住宅の予算計画を立てる時の参考にしてください。

IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。
1,000万円台で建てられる注文住宅はどのくらいの広さ?

1,000万円台で注文住宅は建てられる?
注文住宅というと一般的に高額なイメージがあるため、そもそも1,000万円台で建てられるのかという点に疑問がある人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、1,000万円台での注文住宅の建築は可能です。注文住宅は間取りや使う素材、導入する設備などをすべて自由に選べますから、凹凸(おうとつ)の少ないシンプルなデザインにしたり、部屋や窓の数を調整したりするなどの工夫をすることで、費用を抑えることができます。
ただし、条件として「土地をすでに持っている」あるいは「土地別の予算」である必要があります。家の建築に使う予算が1,000万円を下回ってしまうと、注文住宅の建築は厳しくなる可能性が高いでしょう。
1,000万円台で建てられる注文住宅の広さ
1,000万円台の予算で注文住宅を建築する場合、家の広さはどのくらいになるのでしょうか?
国土交通省の2024年度の建築着工統計調査によると、新築一戸建て(持家)の1㎡あたりの工事費予定額は全国平均で26万円です。1㎡あたり26万円ということは、1坪あたり約85.96万円になります。この単価をもとに計算すると、1,000万円台で建てられる注文住宅の延床面積は以下のようになります。
予算 | 建てられる家の面積 |
1,000万円 | 約11.63坪 |
1,500万円 | 約17.44坪 |
1,900万円 | 約22.10坪 |
この計算から、単身世帯や二人世帯に適したコンパクトな注文住宅を建てる場合、1,000~1,500万円の予算で収まる可能性が高いことが分かります。また、3~4人家族で暮らすための住宅も、1,000万円台後半の予算で実現できるかもしれません。
ただし、実際の建築費用は建築会社や間取り、オプションの有無などさまざまな要素で変動しますので注意が必要です。
なお、国の策定した「住生活基本計画」では、豊かな住生活の前提となる多様な生活様式に必要と考えられる住宅の面積として誘導居住面積水準、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積として最低居住面積水準いうものを定めています。気になる人は、以下に計算方法を示しますので参考にしてください。
誘導居住面積水準と最低居住面積水準の計算方法を見る
誘導居住面積水準は、都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定した都市居住型誘導居住面積水準と、都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定した一般型誘導居住面積水準に分けて計算されます。計算方法は以下の通りです。
- 都市居住型誘導居住面積水準
-
単身者は40㎡、2人以上の世帯は20㎡×世帯人数+15㎡で計算
- 一般型誘導居住面積水準
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単身者は55㎡、2人以上の世帯は25㎡×世帯人数+25㎡で計算
- 最低居住面積水準
-
単身者は25㎡、2人以上の世帯は10㎡×世帯人数+10㎡で計算
上記の計算式で算出した結果をまとめたものが以下の表になります。なお、この計算式における世帯人数の考え方として、3歳未満は0.25人、3歳以上6歳未満は0.5人、6歳以上10歳未満は0.75人として扱います。ただし、算出された世帯人数が2人に満たない場合は2人として考え、4人を超える場合は算出された面積から5%引いて考えます。
世帯の人数 | 単身 | 2人 | 3人 | 4人 | |
誘導居住面積水準 | 都市居住型 | 40㎡(約12坪) | 55㎡(約17坪) | 75㎡(約23坪) | 95㎡(約29坪) |
一般型 | 55㎡(約17坪) | 75㎡(約23坪) | 100㎡(約30坪) | 125㎡(約38坪) | |
最低居住面積水準 | 25㎡(約8坪) | 30㎡(約9坪) | 40㎡(約12坪) | 50㎡(約15坪) |
1,000万円台の注文住宅の間取りと実例10選【平屋・2階建て】
単に1,000万円台の家と聞いても、実際にどのような家が建つのかイメージするのが難しい人も多いのではないでしょうか。
以下で、地域の工務店情報のほか多数の建築実例とイベント情報を紹介しているWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」より抜粋した1,000万円台の注文住宅の間取りと実例10選を紹介します。ぜひ、注文住宅の建築計画の参考にしてください。
1,000万円台の平屋の間取りと実例5選
平屋の家は建築費が高くなりがちというイメージがありますが、適切な計画と工夫次第で1,000万円台でも実現可能です。本章では、予算を1,000万円台に抑えながらも、暮らしの質を高める工夫を凝らした平屋の実例をピックアップしました。限られた予算内で理想の住まいを手に入れる工夫とアイデアをぜひ参考にしてください。
周囲の景観との一体感が魅力的!自然素材をふんだんに使った約22坪の平屋
緑豊かな庭に面した壁に大きな窓を設置することで、室内にいながら周囲の景観と一体になったような感覚が得られる住まいです。家の中のどこからでも外の景色が眺められるようになっているため、四季の移り変わりが身近に感じられます。



- 建築費(本体価格)
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1,000〜1,500万円
- 延床面積
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22.06坪
- 設計・施工
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髙橋材木店 タカハシホーム
家族好みのヴィンテージテイストを平屋で表現!夫婦2人で暮らす、ちょうどよいサイズの平屋
外観はシンプルでスッキリとした印象ですが、ウッドデッキやアウトドアストッカー(外土間収納)が付いていることで、実用的かつ遊び心が感じられる作りの住まいです。LDKを挟んで両側に配置した個室は、大きな室内窓を設けることでLDKとの一体感と個室としての独立感とを両立させています。





インテリアは以前から愛用しているお気に入りのショップの家具がベースです。間取りは私たちのライフスタイルに合わせて暮らしやすくなるようにお願いしました。打ち合わせでしっかりとイメージを共有できたので、全部がお気に入りです。
- 建築費(本体価格)
-
1,000〜1,500万円
- 延床面積
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27.50坪
- 設計・施工
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アットナチュレ
インダストリアル×カフェスタイル!夫婦2人で暮らす、見た目も住み心地も追及した平屋
外観は片流れの屋根に墨色の塗壁、セメントの風合いを活かしたSOLIDOの壁で高級感のある仕上がりです。見た目だけでなく構造・家事動線・住み心地も同時に追求しており、リビングは落ち着きのある配色の壁と木目の美しい無垢材の床により、ホテルのような空間になっています。




- 建築費(本体価格)
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1,500〜2,000万円
- 延床面積
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28.5坪
- 設計・施工
-
Smooth(スムース)
アンティーク風の照明がお洒落な空間を演出!家族4人で暮らす、格子窓が可愛い平屋
白い塗り壁に3つ並んだ格子窓が可愛らしい、シンプルながらも美しい外観の平屋です。玄関土間は吹き抜けになっており、吹き抜けから下がるアンティーク風のペンダントライトや間接照明がお洒落な空間を演出しています。



- 建築費(本体価格)
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1,500〜2,000万円
- 延床面積
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24.5坪
- 設計・施工
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ティーテック T-tech Custom Homes Inc.
太陽光+高性能、夫婦2人で暮らす憧れのニュージーランド風の平屋
ゆったりとしたサイズの平屋に住みたいという夫婦の夢を、敷地面積を最大限活かすことで叶えた住まいです。外観や内装は二人の好きな国ニュージーランドのビーチサイドをイメージした爽やかなデザインで統一され、屋根の太陽光パネルが、省エネルギーで快適な空間を実現しています。



- 建築費(本体価格)
-
1,500〜2,000万円
- 設計・施工
-
BIRTH HOUSE(バースハウス)
1,000万円台の2階建ての間取りと実例5選
2階建ての家は、上下のつながりを活かしてLDKと個室をバランスよく配置でき、アイデア次第で様々な空間づくりが可能です。本章では、建築費を1,000万円台に抑えながらも、上下階の特性を活かした空間設計を実現した実例をピックアップしています。予算内で理想の間取りや設備を実現するための工夫に注目してください。
木の温もりをベースにホワイト×シルバーをミックスしたシンプルな「北欧ナチュラル」の家

敷地面積39坪・延床面積22.5坪というコンパクトな作りですが、吹き抜けを作り間取りを工夫することで、開放感のある明るい室内を実現している住まいです。
外壁はガルバリウムですが、白一色にすることでどこか優しい雰囲気を漂わせています。



- 建築費(本体価格)
-
1,000〜1,500万円
- 延床面積
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22.5坪
- 設計・施工
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かなう家
自然素材+カリフォルニアスタイル!家族4人で暮らす、アメリカンテイストな家

ラップサイディングの白い外壁がアメリカンテイストを醸し出している外観で、銀色のフェンスが世界観を強調しています。
タイル張りのアイランドカウンターや漆喰の壁、落ちついた木目などのヴィンテージと自然素材を組み合わせて西海岸のカリフォルニアスタイルを演出しており、吹き抜けの高さを活用したリビング階段が開放感に一役買っている作りです。




SNSで好みのデザインを探しているときに、アメリカンスタイルを気に入り採用しました。インテリアやエクステリアもこだわりたかったので、予算内で叶えてくれたことにとても感謝しています。
- 建築費(本体価格)
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1,000〜1,500万円
- 延床面積
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28.9坪
- 設計・施工
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アットナチュレ
かわいい×おしゃれ!家族3人で暮らす、動線にもこだわった毎日が楽しい住まい
ラップサイディングの外壁は暗めの配色にすることでデザインが引き締まり、ナチュラルな可愛らしい雰囲気だけでなくお洒落さも演出しています。格子窓もアクセントとして際立つ外観です。



- 建築費(本体価格)
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1,500〜2,000万円
- 延床面積
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27.5坪
- 設計・施工
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アオイホーム
自然素材×インダストリアル!家族4人で暮らす、コンパクトながら開放感のある家
黒の鋼板に落ち着いた色合いの木を組み合わせた和風でお洒落な外観の住まいです。吹き抜けやスキップフロアなどにより、コンパクトな建物からは想像できない開放感があります。



- 建築費(本体価格)
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1,500〜2,000万円
- 延床面積
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30.20坪
- 設計・施工
-
山一ハウス
縦空間のつながりが実際以上の広さを演出!家族5人で暮らす、薪ストーブを中心に囲む家

大きな吹き抜けと薪ストーブを中心に配置した間取りで、縦方向に空間をつなげたことで実際以上の広がりがあるように感じられます。
「子どもたちが自然の恵みを感じながら、成長できる家」が設計コンセプトです。




子育てをする上で、安心、安全な自然素材の木の家に興味があり、デザイン性や相談のしやすさなども考慮して依頼する建築会社を決めました。予算面についても担当者の方から的確なアドバイスをいただき、わくわくするポイントがいっぱいの私たちらしい住まいになりました。
- 建築費(本体価格)
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1,500〜2,000万円
- 延床面積
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25.79坪
- 設計・施工
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想いをデザインする negla設計室
1,000万円台の注文住宅の特徴とメリット・デメリット

1,000万円台の注文住宅の特徴
国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、注文住宅の平均価格は新築で4,034万円です。注文住宅はこだわると予算がどんどん膨らむため、平均価格は高額なものに引っ張られて上がる傾向にありますが、それでも 1,000万円台は平均と比べて低めの予算となります。1,000万円台で建築するためには費用を切り詰める必要があり、平均的な注文住宅よりも間取りや性能、設備に制限が加わります。
注文住宅の住宅建築資金 (土地購入資金を除く) | 4,319万円 | 4,034万円(新築) |
5,745万円(建て替え) | ||
土地購入資金 | 1,929万円 | |
住宅建築資金と土地購入資金の総額 | 5,811万円 |
一般的にローコストで建てる注文住宅には、以下の特徴があります。
- 間取り
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パターン化することで費用を削減
- デザインや外観・形状
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凹凸が少ないシンプルな形
- 住宅設備や建築部材
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規格品や前年の型落ち品を使用
- 打ち合わせの回数
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回数を少なくして人件費を削減
1,000万円台の注文住宅のメリット・デメリット
1,000万円台の注文住宅は、手頃な価格でありながら、カスタマイズ性も持ち合わせた魅力的な住まいの選択肢です。しかし、予算を抑えることで設計の自由度やサポート体制に制約が生じるという一面もあります。以下で1,000万円台の注文住宅のメリット・デメリットを紹介しますので、建築計画を立てる参考にしてください。
1,000万円台の住宅を建てるメリット
- ①土地に多くの購入費用を割り振れる
-
全体の予算の中で家にかける費用を少なくすることで、土地の購入費用を増やすことができ、より良い条件の土地を買うことができます。通勤・通学の利便性を向上させたり、商業施設への交通の便を良くしたりすることで生活環境を充実させることが可能です。
- ②教育費や娯楽費を増やせる
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家にかける費用を節約することにより、教育費や娯楽費などの生活の質を向上させるための費用を増やすことができます。
- ③貯金や保険、投資運用資金が確保できる
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家にかける費用を少なくすることで、老後の資金や病気・事故に備えるための資金を確保することが可能になります。また、建物の価値は経年で下がっていきますが、土地の価値はほとんど変わらないため、家よりも土地に費用を割り振った方が長期的な資産の運用方法として効率が良いという見方もできます。
1,000万円台の住宅を建てるデメリット
- ①間取りやデザイン、住宅性能に制約がある
-
費用を切り詰めるため、間取りやデザイン・住宅性能に制約が生じます。複雑な条件を叶えるのは難しい可能性が高いです。
- ②手厚いサポート体制が望めない
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建築会社によりますが、打ち合わせの回数を減らして人件費を節約しているため、営業担当者のサポートが不足していると感じることがあるかもしれません。
- ③維持や管理・保守費用が多くかかる可能性がある
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建築資材や施工方法に制約があるため、維持や管理・保守費用が一般的な注文住宅より多くかかる可能性があります。
1,000万円台の住宅の建築を計画する時には、上記のようなメリット・デメリットを踏まえた上で、自分の希望に沿った予算計画をしっかり立てることが重要です。
注文住宅の予算は、相場や費用の内訳について知っておくと考えやすくなります。ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
1,000万円の家を建てるためのコストカットのコツ8個
注文住宅は様々な希望条件を自由に盛り込めるところが魅力ですが、予算には限りがありますから、優先順位をつけて取捨選択することが必要です。しかし費用を闇雲に削っても、理想の家からは遠ざかってしまいます。
以下で、予算内で建てるための8つのコツを紹介しますので、参考にしてください。
建物の形状に関するコストカットのコツ
- 床面積を減らす
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建築費用は「坪単価×床面積」で計算されるため、大きな家ほど建設費用は高くなります。大手ハウスメーカーの坪単価は60〜80万円程度ですので、一坪減らすだけでも数十万単位でコストダウンできるということになります。廊下の長さや部屋の大きさ、必要な設備の数を考え直して床面積を減らすことができないか検討してみましょう。
注意点として、ベランダ・玄関ポーチ・地下室などを含んだ面積である「施工床面積」と含まない面積である「延床面積」のどちらの方法で計算しているかは建築会社によって違いますので、必ず確認してから検討しましょう。
- 建物の凹凸を減らす
-
家の外壁に凹凸が多いほど外壁の量が増え、それに伴い費用も増加します。出っ張ったりへこんだりしている部分には補強が必要な場合があるため、構造的にもシンプルな四角い形状の家のほうがコストが低いです。
特に、1階と2階がほぼ同じ面積・作りをした総2階の家を建てると、建築費用を抑えることができます。この形状は耐震性や防災面でも利点があります。ただし、変形地や狭い土地に建てる場合、総2階の建築が難しいこともあるため、地形や条件に合わせて考える必要があります。
- 屋根を簡単な作りにする
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屋根の形状にはいろいろな種類がありますが、二等辺三角形のような形の切妻屋根、一方向に向かってのみ傾斜がついている片流れ屋根などのシンプルで安価なデザインを選ぶと予算を圧迫しません。ただし、屋根の勾配によっては工事の際に足場が必要になり余計な費用がかかる場合があるため、注意が必要です。
間取りに関するコストカットのコツ
- 部屋の数を少なくする
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せっかく家を作るなら家族の数だけ個室を作りたいと考えるかもしれませんが、部屋数を増やすと建具や壁がその分必要となり、費用がかさんでしまいます。予算を削減する観点から見れば、部屋数をできるだけ少なくすることがおすすめです。
新築段階では子ども部屋は1つにして大きくなったら間仕切りを追加できるように設計したり、階段はリビングの中に設置したりするなど、できるだけシンプルで少ない部屋数にできるよう計画しましょう。
- 窓の数を減らす・小さくする
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窓の数が増えたりサイズが大きくなったりすると、その分だけ費用は増えます。たくさんの窓や大きな窓があると部屋が明るくなって開放感が生まれ、換気もしやすくなりますが、一方で断熱性は低下し、冷暖房費は増えることになります。
窓の数と大きさを検討する時には、これらのメリットとデメリットを考慮し、本当に必要なのかを判断しましょう。
- 和室ではなく洋室にする
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和室は洋室に比べて建築コストが高く、さらに畳の張り替えなどのメンテナンス費用がかかるため、和室を作らない家も増えています。和室を洋室にすると、100万円単位の予算の節約が期待できます。
畳の部屋が欲しい場合は、リビングの一角に小さな畳コーナーを設ける選択肢もあります。予算と好みを考慮して検討してみましょう。
設備に関するコストカットのコツ
- 設備のグレードを落とす
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最新の設備は魅力的ですが、多くの場合、10〜15年後には買い替えや修理が必要になります。型落ち品を使用したり、標準仕様で済ませることも検討しましょう。
どうしても最新設備を取り入れたい場合は一つに絞ってその他の設備は標準仕様にするなど、メリハリをつけて予算計画を立てましょう。
- 水回りはまとめる
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水回りの位置をまとめると、給排水管を短くできるため費用削減につながります。キッチン、バスルーム、トイレ、洗面所などをできるだけ近い場所に配置するか、2階のトイレを1階の真上に設置するなどの工夫をすることで、コストを抑えつつ便利な生活動線を実現できます。
規格(企画)型住宅も視野に入れる
注文住宅には、大きく分けて3つの種類があります。すべてを自分たちで決めるフルオーダー住宅、決められた選択肢の中からある程度カスタマイズできるセミオーダー住宅、あらかじめ設定されているいくつかのプランの中から選んで建てる規格型住宅です。
3種類のうち規格型の注文住宅は、自由度とともに費用も低く押さえられるため、1,000万円台でも高いコストパフォーマンスを発揮した家が建てられます。こだわりたいポイントにもよりますが、フルオーダーやセミオーダーではどうしても予算内に収まらないという場合にはぜひ検討してみてください。

1,000万円の家を建てて後悔しない?気になるポイントQ&A
1,000万円台で家を建てることについて、予算が低いことを不安に感じる人も多いのではないでしょうか。
本章では、1,000万円台で家を建てる時によくある疑問や不安要素をQ&A形式で紹介します。予算と理想のバランスを取りながら、後悔のない家づくりを実現するための参考にしてください。
ローコスト住宅については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
【2025年】1,000万円の家を買う時に利用できる補助金の例
住宅を建てる時は、決められた条件を満たすことで国の補助金・助成金制度を利用できる場合があります。上手に活用することで、実際には1,100万円の住宅が1,000万円で購入できるかもしれません。
以下は2025年に利用できる国による補助金の一例です。国の補助金は多くが先着順ですので、利用しようと思ったら終わっていたということがないよう注意しておきましょう。また、補助金をどれか一種類申請した場合、原則として支援対象が同一の時は他の補助金を申請することはできません。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、エネルギー価格などの物価高騰の影響を特に受けやすい子育て世帯などに対して、「ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた裾野の広い支援を行う事業です。
- 対象者・対象住宅
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- 延床面積50㎡以上240㎡以下で、2024年11月22日以降に建築着工した、GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅のいずれかに該当する住宅
- GX志向型住宅の場合はすべての世帯、長期優良住宅・ZEH水準住宅の場合は申請時に「子育て世帯(18歳未満の子供がいる)」または「若者夫婦世帯(申請時にどちらかが39歳以下)」である世帯
- 土砂災害特別警戒区域や災害危険区域などに立地しない住宅
- 補助金額
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- GX志向型住宅の場合、1住戸につき160万円
- 長期優良住宅の場合、1住戸につき100万円または80万円
- ZEH水準住宅の場合、1住戸につき60万円または40万円
- 申込期限(予定)
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2025年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
用語解説
ZEH水準住宅とは?
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高い断熱性能や省エネ設備の導入により建物で使用するエネルギーを減らした上で、太陽光発電などの設備で再生可能エネルギーを生み出し、建物内のエネルギー収支をゼロにすることを目指した住宅です。
ZEH水準住宅は、ZEHと同じく高い断熱性能や省エネ設備で建物で使用するエネルギーを減らすことを目指した住宅ですが、ZEHと違い太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーを作り出す設備の導入は必須ではありません。2030年までにすべての新築住宅でこの基準を満たすことが国の目標として掲げられています。
GX志向型住宅とは?
GX(グリーン・トランスフォーメーション)志向型住宅とは、ZEH水準よりもさらに高い省エネ性能を持つ次世代型の住宅のことです。以下の3つの条件すべてに該当する必要があります。
- ①断熱等性能等級が6以上である
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断熱等性能等級とは、住宅の断熱性能を示す指標です。1~7の7段階評価となっており、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
- ②一次エネルギー消費量の削減率が、住宅の形態・規模に応じて定められた基準を満たしている
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一次エネルギー消費量の削減率とは、建物が法律で定められた建築物の標準的なエネルギー消費量と比較してどの程度省エネできるよう設計されているかを示す目安の数字になります。
GX志向型住宅の基準を満たすためには、戸建て住宅の場合以下のような削減率が必要です。
右記以外の地域 寒冷地や
低日射地域都市部狭小地や
多雪地域建物の設備で生み出すエネルギーを除く 35%以上 建物の設備で生み出すエネルギーを含む 100%以上 75%以上 (要件なし) - ③高度エネルギーマネジメントを導入している
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高度エネルギーマネジメントとは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント ・システム)により、太陽光発電設備などの発電量を把握した上で、住宅内の冷暖房設備や給湯設備などを制御可能にする手法です。
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅です。長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。耐震性や劣化対策などの基準が一般住宅よりも厳しく設定されており、認定を受けると税制面で優遇措置が受けられます。
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、消費者等による高効率給湯器の導入を促進する取り組みに係る設備の導入に要する経費の一部を補助する事業です。
- 対象者
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- 対象機器を設置する住宅の所有者や家族であり、給湯省エネ事業者と契約を締結し、指定の方法により対象機器である高効率給湯器を導入する人
- 補助金額
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- ヒートポンプ給湯機(エコキュート)を導入する場合、1台につき10万円
- 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)を導入する場合、1台につき13万円
- 家庭用燃料電池(エネファーム)を導入する場合、1台につき20万円
戸建て住宅の場合、いずれか2台まで補助金の申請対象です。また、それぞれ通常より高い性能要件を満たしている場合、さらに追加で補助金が加算されます。
- 申込期限(予定)
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2025年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)
上記の例は国の補助金ですが、この他に都道府県や市町村単位で独自の補助金や助成金を出している場合があります。家の建築・購入をする時は、住んでいる地域や検討している地域で独自の制度があるかどうか事前に確認してみましょう。
住宅ローン減税
補助金ではありませんが、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する住宅ローン減税という制度があります。
ただし、条件として省エネ基準を満たす住宅である必要があります。住宅の性能によって住宅ローン減税の借り入れ限度額が変動し、申請には省エネ基準以上適合の「証明書」が必要です。
住宅ローンの金利や年収・借入金額にもよりますが、住宅ローンの利子返済金額よりも住宅ローン減税による控除金額の方が大きくなる場合もあります。
希望条件の優先順位をはっきりさせ、慎重に予算計画を立てよう
予算が限られた状況で注文住宅を建てる時には、希望条件の明確な優先順位付けと慎重な予算計画が必要です。平均よりも低めの予算であるとはいえ、1,000万円は大きな金額です。後悔することがないように、最初の計画をしっかり練りましょう。
家族の希望や生活様式を考慮して家の各部分に対する希望や必要性を整理し、何を優先するかをはっきりさせることが重要です。自分たちだけでは考えられる内容に限界がありますから、ある程度要望が固まったら建築会社を選定して相談し、予算内で実現可能な要素が何なのか聞いてみることも建築計画の役に立つでしょう。
必要な要素に重点を置きつつ、担当者との協力を通じてしっかりとした計画を立てることが理想の住宅を手に入れることにつながります。



- 国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査_報告書」
- 国土交通省「長期優良住宅のページ」
- 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」
- 国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業」
- 国土交通省「ZEH・LCCM住宅の推進に向けた取組」
- 国土交通省「長期優良住宅のページ」
- 経済産業省資源エネルギー庁「給湯省エネ2025事業」
イエココロのWEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、群馬・栃木・宮城・山形を中心とした工務店情報やモデルハウス情報のほか、多数の「建築実例」を紹介しています。お近くにお住まいの方は、ぜひチェックしてください。