「広い庭付きのオシャレな家」「最新設備が揃った快適な家」……。新築の注文住宅への夢は沢山ありますが、あれもこれもと理想を詰め込んでいくとあっという間に予算オーバーになってしまいます。
そうなると、予算内に収めるために設備や設計を見直してのコストダウンが必要になりますが、「コストダウンできる箇所はどこなのか」「そもそもコストダウンはしても良いのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、予算オーバーになる原因、コストダウンで削っても問題ない箇所と削るべきではない箇所、工務店の活用方法について解説していきます。
具体的なコストダウンの方法を探している方はもちろん、これから家を建てようとしている方も、ぜひ参考にしてみてください。

IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。
注文住宅が予算オーバー!その原因とは

注文住宅を建てるにあたり、予算がオーバーしてしまいがちなのはなぜでしょうか?
大きな原因として以下の3点があげられます。
①理想を詰め込みすぎ
「大きい窓をたくさん付けたい」「全館空調にしたい」「トイレは多い方が良い」「家具はおしゃれなものを設置したい」「部屋数は多い方が良い」など、せっかく注文住宅を建てるならこうしたい、という希望が沢山あるかと思います。しかし、「デザイン」「設備」「住宅性能」「間取り」あれもこれもと詰め込んでいけば、コストはどんどん上がっていきます。
まずは、間取りや設備によってどれくらいの金額がかかるのかを把握して、「絶対に必要なもの」「なくても生活できるもの」などの優先順位を決めることが大切です。
②建築費以外にもお金がかかる
注文住宅を建てる際、建築費用だけに目が行きがちですが、実はそれ以外にもお金がかかります。
本体工事費用 | 家そのものを建てるためにかかる金額 |
付帯工事費用 | 庭や塀の工事、エアコンの設置などにかかる金額 |
諸費用 | 住宅ローンの手数料、登記費、税金などにかかる金額 |
土地代金 | 土地も一緒に購入する場合にかかる金額 |
付帯工事費は総費用の15~20%、諸費用は総費用の5~10%かかると言われています。
最大30%で考えると、建築費2,500万円の家を建てる際には追加で最大1,000万円かかる計算になります。
この費用のことを忘れていると、総額で見た時に予算オーバーになってしまうかもしれません。
③そもそも予算が少ない
最初から想定している予算が少ない場合は、どうしても予算オーバーになる傾向があります。
国土交通省の「令和4年度(2022年度) 住宅市場動向調査報告書」によれば、購入資金の全国平均は以下のような結果でした。
住宅建築資金のみ | 3,935万円程度(自己資金1,177万円) |
住宅建築資金+土地購入資金 | 5,436万円程度(自己資金1,665万円) |
想定していた予算内で建てることが難しそうなら、ローコスト住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
最近では1,000万円程度建てられるローコスト住宅も出てきています。
ただし、間取りや内装・設備などは最低限になりますので、その点は理解しておきましょう。
【OKなコストダウン10選】建築費用で削れるところとポイント徹底解説

コストダウンで削りやすいポイントを10点紹介・解説します。中には注意しておかないと後悔してしまうポイントもあるので、併せて解説しています。
①延べ床面積を減らす

延べ床面積を減らすことは、一番楽に出来て一番効果的なコストダウンの方法です。
延べ床面積とは、すべての階における面積を足したものになります。
この際、「吹き抜け」「バルコニー*1・玄関ポーチ」「ロフト*2」「ビルドインガレージ」「出窓」「屋外階段」などの壁に囲われていない部分は含まれません。
ただし、一番効果的な方法だからといって大きく削ってしまうと「せっかくの注文住宅なのに狭い」と後悔してしまうポイントでもあるので、減らしすぎには注意しましょう。
*1 外壁から2m以上離れている場合は延べ床面積に含まれる
*2 基準内であれば延べ床面積に含まれない
②総2階建てにする

総2階建てというのは、1階と2階がほぼ同じ面積・同じ作りをした住宅のことです。
凹凸(おうとつ)があると屋根や外壁の長さが増えることで資材・作業工程が増えてコストアップしますが、シンプルな真四角なら資材や作業工程が少なくなるのでコストダウンができます。
また、同じ面積でも平屋より総2階建ての方が、基礎と屋根の面積が減るのでコストダウンになります。
③シンプルな屋根にする

おすすめはシンプルで雨漏りしにくい切妻屋根(三角屋根)です。
複雑な形にしない方が建材と工程の手間を減らすことができるので、コストダウンになります。
和風・洋風を選ばず、換気性能も高く、メンテナンス費用が安く済むのも嬉しいポイントですね。
シンプルでデザイン性のある屋根として、片流れ屋根や陸屋根もありますが、切妻屋根に比べると雨漏りのリスクが大きいという点には注意が必要です。
デザイン性は片流れ屋根や陸屋根の方が良いですが、コストダウンという観点から建築後のランニングコストまで考えると、切妻屋根がおすすめです。
④間取りをシンプルにして仕切りを減らす

部屋の数が少なければ、ドア・壁材・クロスなどの建築資材を減らすことができるので、コストダウンになります。
シンプルにするための例として、以下のような方法があります。
- 書斎で1部屋作るのではなくリビングにパーテーションで仕切ったワークスペースを設ける
- 子どもが自立した後のことを考えて子ども部屋を広く作り、パーテーションや棚などで間を仕切る
- 階段を専用スペースで仕切らずリビング内に設ける
- 収納を一カ所にまとめる
以上はあくまでも一例ですので、まずは、部屋の数が本当に最適かどうかを考えてみましょう。
⑤水回りをまとめる

水回りをまとめればコストダウンになることはもちろん、家事や生活の動線が良くなり、掃除や修理・買い替えなどもしやすくなります。
「2階にもトイレがあった方が良い」と考える方も多いと思いますが、コストダウンが目的なら「2階にトイレがなくても問題なく生活できる部屋の配置」を検討してみると良いのではないでしょうか。
2階の階段近くに寝室を配置して、トイレは1階の階段下に設置するなどの工夫で対応できる場合もあります。
⑥窓のサイズや数を見直す

窓のサイズを小さくしたり、数を減らしたりすることでコストダウンができます。
そのため、断熱性能などのランクを落とすのではなく、まずはサイズや数の見直しから始めましょう。
「大きい窓をリビング一面に」というのも魅力的ですが、立地や環境によっては直射日光と外気温に影響されて夏は暑く冬は寒く、冷暖房を常時稼働させないといけない、結果的に電気代がかかる家になってしまう場合もあります。
例えば、西日の当たる窓を減らしたり、北側の窓は換気用として小さくしたりすると、冷暖房に使う電気代の削減につながり、プライバシーも守れる家になりますよ。
ただし、削りすぎると風通しや採光性が悪くなるので、数を削るというより「余計に増やさない」という意識が大事かもしれません。
⑦バルコニーを小さくする

バルコニーを必要以上に大きくすると、資材や工程が増えるのはもちろん、うっかり外壁から2mを超えてしまい、延べ床面積に含まれてしまった、なんてことにもなりかねません。
掃除などのメンテナンス頻度も増え、排水管の詰まりなどによる雨漏りのリスクも出てきてしまいます。
2階にある寝室の布団を干すだけなのか、洗濯物も干す予定なのか、憩いの場にしたいのか、まずはどういう使い方をするのかよく考えてみると良いでしょう。
布団を干すだけなら布団干しバーを取り付けることで解決できる場合もあるので、調べてみると良いかもしれません。
⑧和室をつくらない

畳や障子などは他の建材よりも単価が高くメンテンス費用もかかるため、和室を作らない方がコストダウンになります。
和の雰囲気を取り入れたい程度なら、リビングに小上がりを作る、フローリングに置き畳を設置する、という選択肢もありますよ。
もちろん、「絶対に和室が欲しい」「家のコンセプト自体が和モダンなので和室は必須」というこだわりがあるなら削らずに他の部分から手を付けていきましょう。
⑨エアコンや照明を自分で手配する

エアコンや照明などの家電は、自分で購入し設置するとコストダウンになります。
よく使う家電量販店やインターネット通販サイトであればポイントもゲットできるので一石二鳥ですね。
ただし、入居タイミングに合わせて手配しないと、入居後に照明もエアコンもない、という生活になりかねないので注意しましょう。
自分で取り付けるのが難しい場合は無理をせず、最初からハウスメーカーや工務店にお願いしたり、家電量販店の取付工事のオプションを利用したりしましょう。
⑩造作家具を減らす

造作家具は全体の雰囲気や間取りに合わせて製作されるため、機能性とデザイン性を兼ね備えています。
その分製作コストがかかっているので、市販の家具に変更することで大幅にコストダウンできますよ。
シンプルでリーズナブルな家具なら「無印良品」「イケア」「ニトリ」「東京インテリア」などで探せますし、味わいのあるヴィンテージ家具ならリユース・リサイクルショップや中古家具店で探せます。
DIYが得意な方・好きな方なら自作してみるのも良いかもしれませんね。
【NGなコストダウン5選】削ると後悔しやすいポイント徹底解説

コストダウンで無理に削ると後悔しやすいポイントを5点紹介・解説します。
①水回りの設備

キッチン・洗面所・お風呂・トイレなどの水回り設備のグレードを下げすぎないようにしましょう。
節水や節電に優れた設備を選ばないと結果的に電気代がかさみますし、使い勝手が良くないと生活の質に関わります。
グレードが低くても使えれば大丈夫、と思っていてもいざ生活を始めてみたら「洗面台が小さすぎて使い勝手が悪い」「浴室・浴槽の保温性能が低くて寒い」「掃除に手間がかかる」などの不満が出てくる恐れがありますので、必要以上にグレードは下げない方が良いでしょう。
②断熱材

断熱代のコストダウンは避けましょう。
断熱材の等級を低くしたり厚さを薄くしたりすると、外気温の影響を受けて、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。
そうなるとエアコンや暖房器具を想定以上に使用することになるので、結果的に電気代がかかってしまうことに。
安価な断熱材は耐久性も低く、将来的にメンテナンスのコストがかかってしまいますので、最初からしっかりしたものを選びましょう。
③耐震・耐火・防火

耐震や耐火・防火など、防災に関する部分のコストダウンは避けるようにしましょう。
自然災害や火災はいつどこでどんな理由で起こるかわかりません。
備えを怠っていると「地震が起きて家が倒壊してしまった」「一気に燃え広がって周囲にまで延焼してしまった」なんてことになる恐れもあります。
家族の命を守るため、安心して暮らすため、しっかり備えておきましょう。
④外構工事・セキュリティ

プライバシーの確保と防犯のために、外構や防犯設備は必要以上に削らないようにしましょう。
はやりのオープン外構は開放感があり広く感じられるメリットがありますが、道路から丸見えなのでプライバシーの確保が難しい、外部から侵入しやすい、子どもが道路に飛び出せてしまうなどのデメリットがあります。
全方位囲ってしまうと圧迫感がある、周りの家とのバランスが悪い、という場合は、駐車場や玄関はオープンにして、庭やお風呂などのプライベートを確保したい部分はフェンスや植木で囲うセミクローズ外構にすると良いかもしれません。
その他、防犯ガラスやカメラ付インターフォン、センサーライトや監視カメラなどの防犯に関わる部分はおろそかにしない方が良いでしょう。
⑤屋根・外壁

屋根材や外壁材の極端なコストダウンはおすすめしません。
安価な屋根材を使うと雨漏りのリスクが大きくなりますし、雨風に晒されての劣化が速く、メンテナンス頻度が高くなってしまいます。
屋根も外壁も、いずれはメンテナンスが必要になる箇所ではありますが、その頻度が増えれば当然金額がかかりますので、最初から耐久性のある資材を選んでおきましょう。
工務店で注文住宅を建てるという選択肢

展示場やCMなどでよく見る有名なハウスメーカーは、平均的な水準で当たりはずれも少なく、サポートがしっかりしているという安心感がありますよね。不満があるとしたら金額面です。
ハウスメーカーは、同じような規格で大量発注をしているので材料費自体は安いのですが、その分、たくさんの人の目に留まるように広告費にお金をかけているので、総合的に金額が高くなってしまうのです。
そのため、コストダウンを考えるなら工務店で家を建てるという選択肢もあります。
工務店で家を建てるメリットは、「明瞭会計で価格は抑えめ」「デザインや設備の自由度が高い」「トラブルなどへの対応が早い」「地域の特徴や風土にあった家づくりができる」ことです。
同じ規格やデザインなら工務店の方が安価になることが多いので、浮いた金額でデザインや設備を充実させることもできますよ。
しかし、施工が職人の実力に左右される、ハウスメーカーより納期がかかる場合がある、倒産リスクがあるなどのデメリットもあります。
工務店の探し方
工務店を探すなら「地域名 注文住宅 工務店」というキーワードで検索することから始めましょう。
まとめて検索するなら「SUUMO(スーモ) 注文住宅」、群馬県・栃木県・宮城県内の工務店を探すなら建築実例が豊富なIECOCORO(イエココロ)の家づくりサポートサイト「自慢の注文住宅集めました。」がおすすめです。
気に入った工務店のホームページを確認して資料請求を行い、構造見学会・完成見学会・説明会・無料相談会などに参加して情報を集めていきましょう。
特に構造見学会は実際の施工の様子や技術が確認できるので積極的に参加してみてください。
その上で、
- 経営が安定しているか
- 自社施工か
- コミュニケーションが取りやすいか
- プラン提案時に要望を踏まえてくれるか
- 職人の雇用形態や定着率・技術はどうか
などに注目して、あなたに合った工務店を選んでいくと良いでしょう。
まとめ

注文住宅のコストダウンのコツについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
まず、どんな家に住みたいのか、冷静になって自分の中で納得のいく優先順位をつけていくことが大切です。その上で、メンテナンス費用などのランニングコストのことも忘れず、しっかり将来を見据えて考えていきましょう。
この記事が良い注文住宅造りの参考になれば幸いです。


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