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第7回 常識をぶっこわせ1『LDK』

このFlip Side Designが連載開始されてから早くも2年が経ちました。原稿入稿が締切日前日というのは毎回変わらないことなので、編集長も既に慣れっこになっていることでしょう※1。

さて、今回からは少々刺激的な内容となります。アイデアをいただきました編集長には感謝の言葉もありません。

今回からのテーマは家づくりの常識であろうことをピックアップして、それでいいのか!?と筆者なりのアンチテーゼを読者の皆様に投げかけてみたいと思います。
まず記念すべき第1回のお題は「4LDK」!

リビングに
ダイニングに
キッチンに
その他4部屋。

まぁ、これが4LDKの意味ですが、

こんな表記は長い日本の住宅事情の中では短い歴史でしかありません。戦後日本の不足している住宅事情を改善するため、公営住宅や公団、そして住宅金融公庫が設立されたわけです。そんな中で保健・精神衛生上寝る部屋と食事をする部屋をわけるという考え方「食寝分離※2」が住宅における「確保するべき最低レベル」の条件として提唱されたのです。
そして第二次世界大戦後、日本住宅公団※3がこの考えを取り入れ「n+DK」という型の間取りに発展させたのです。

ここで重要なのは戦後日本の住宅事情を改善するため、多くの人に住宅を一律に供給する住宅公団の考え方が「n+DK」なのです。
戦後70年我々の生活は大きく変化しています。住むエリアも都市部であったり農村部であったりと100人100様。

それでも皆さんは4LDKを選ぶのですか?

知らず知らずのうちに「常識」という非常識に縛られていませんか?

あなたの大切な家族が長い間住む家。そして今、こうしてイエココロを読んでいる皆さんは注文住宅を検討している方がほとんどでしょう。せっかく自由に建てられるチャンスをおかしな「常識」である4LDKに縛られるのはもったいないとは思いませんか?

【茶の間】
これは古き良き日本の庶民の間取りスタイルです。ちゃぶ台でご飯をいただき、ちゃぶ台を片付ければ広い空間が確保できます。お父さんは怒りにまかせてちゃぶ台をひっくり返してはいけません※4が、このちゃぶ台もある時はお子様の宿題のテーブルに、又ある時は家族団らんの人生ゲーム※5のボードを置く良い台となります。ちゃぶ台を含めた茶の間は変幻自在、応用範囲の広い空間を住まいに提供してくれます。

そして子どもの人数分個室が必要でしょうか?

最近の「頭の良い子を育てる家づくり」という話題の中では、宿題はダイニングで家族のいるスペースでやるのが良い※6とされていますが、古き良き日本では家族の中で宿題をやるなんてことは当たり前のことでした。

皆さん、サザエさんの家を思い出して見てください。

4LDKでなくともサザエさん一家は楽しく幸せに暮らしています。(まぁ、漫画の中の世界ではありますが昭和の前半~40年代くらいまでは当たり前に見られた光景でしょう)

田舎にいけば茶の間ならず、囲炉裏がある家もまだまだ存在しているでしょう。囲炉裏の中の火を囲みながらの晩飯。これも又家族団らんです。

単純に茶の間や囲炉裏のある家を皆様にすすめているわけではありません。家を設計する際のヒントのひとつを提案しているわけです。

高齢になれば、畳での生活より椅子での生活が楽であったりするのも事実です。そこを将来のリフォームも見据え、上手に設計に取り入れていくのが設計者の腕のみせどころでしょう。

家づくりの選択肢は多岐に渡ります。

あなたが家を建てようと思って設計の人に「4LDKでは無い自分たちの家族のスタイルにあった住まいを設計して欲しい」とリクエストした時に、目の奥にキラリと光るものがあればその人に頼む価値があるかもしれません。

戦後70年。そろそろ公団の常識から卒業してみませんか。

※一部Yahooコトバンクより引用


※1 慣れてしまったと思われることに慣れてしまいました…うーん、まるで謎かけのようですね。
※2 これは建築家・西山夘三が「住居空間の用途構成に於ける食寝分離論」で提唱したもの。この考え方では「布団の埃が舞うなかでの食事を避ける」「家族内の生活時間帯のズレに対応した食事・就寝時間の確保」「食卓が固定されることによる家事労働の軽減」がメリットとして挙げられている。
※3 日本住宅公団は、1955年に設立された特殊法人。住宅に困窮する勤労者のために、住宅及び宅地の供給をおこなってきた。1981年解散。現在は都市再生機構へ移管されている。
※4 Wikipediaで調べてみると「両手の手のひらを上に向け卓の端を掴み、そのまま真上に放り投げるようにして行われる。このために、卓上にある食器その他は派手に宙を舞うものの、空中で半回転して裏向きになったちゃぶ台の下敷きになるように押しつぶされ、あまり遠くに飛ばないことが多い」との説明がありました。ちゃんとした定義があるなんて驚きです。
※5 ロングセラー「人生ゲーム」はその時代の世相を反映させているようです。最近のものでは「増税」「ネット炎上」なんてマス目があるんだとか。
※6 キッチンやダイニングなど親の目が届くところに勉強コーナーを設置することで、学習の習慣づけとやる気の向上を図るというプランニング。


山﨑かずお

著者プロフィール

多摩美術大学建築科卒。都内設計事務所勤務を経て、フリーランスの商業建築設計及びグラフィックデザイナーとして活躍。現在は「サラリーマン道」を究めるため、某住宅メーカーに在籍中。

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