IECOCORO NAVI

家族で叶える注文住宅、サポートします。

第6回 『色考2』

5月初旬。日差しもやわらかく、穏やかな日が続いています。日中は暑くなることも多くなってきましたが、時折、心地良い風が吹き「爽やか」とはこういうことなのだな、とあらためて実感しております。

さて、筆者は約3年前より半ば強制的にゴルフの道に入ることになったのですが、始めてみると…その奥深い世界にズッポリとはまってしまっております。(この3年で驚異的なスコアの伸びは全くございません…)昨日も仲間と富岡方面にゴルフに行ってきたわけですが※1、コースの周りは綺麗な新緑・新緑・新緑!芝も青々としておりなんと気分の良いことでしょう!日本の「四季」というものを改めて色彩で感じる日となりました。

さて、ここから本題です。
日本にある四季は、日本人の色に対する感性をとても素晴らしくしています。普段は気が付かないかもしれませんが、ほとんどの日本人には繊細な色彩感覚※2があるといっても過言ではないでしょう。

というのも、今回は引き続き「クロス選び」なのですが、前回の最後に筆者は最後の一文に『自分で選んでみましょう』 という言葉で締めさせていただきました。

前回原稿執筆時から4ヶ月。時が経つにつれ自分の書いた言葉に疑問が湧いてきてしまったのです。
「もしかして日本人は繊細な色彩感覚があるからこそ、『決められない』のではないか」と。

古来より日本では「白」だけでも多彩な白※3が存在します。(これは海外では無いことのようです)青みがかった白や、黄色みがかった白…日本人には判別がついても、外国の方には白としか見えない。 こんな繊細な感覚が備わっている私たちに、自分の家のクロスを簡単に決めることができるでしょうか…

繊細が故に無難な色になってしまう。これが一つの現実かもしれません。

ただ、古の日本の建築を見てみると、様々なシーンでとても素敵な色を楽しんでいます。 家づくりでは、それらを参考にするのはどうでしょうか?

例えば「桂離宮」※4。
この建築には色と合わせ「柄」も現代に通じるデザインが多く見受けられます。
現代は便利なもので、画像検索をすればあっという間に様々な写真が見ることができるので、どうぞ参考にしてください。

少し具体的なお話をすると…
部屋の壁は4面とも同じ色である必要はないのです。1面だけ柄の入ったものやダークな色、又はビビットな色にしてみる。この手法は最近の建売住宅などでも増えてきているので、実際の空間を見られるケースも多くなってきています。想像するより派手にもならないため、センスの良い空間が演出できます。

また、天井に関しても白である必要は全くありませんが、部屋の目的〈寝室なのかリビングなのか等〉と照明の種類〈シーリング※5なのかペンダント※6なのか〉の兼ね合いで変化をつけることが可能です。
例えば寝室で照明はシーリングのケースでいえば、シーリングの照明を天井に反射させて部屋をより明るく見せる必要はないので、ダーク色のクロスでもOKでしょう。

「灯りの回」と重複する内容となりますが、部屋の目的によって明るさは当然変えるべきであって、照明と併せてクロスの色も検討するのがよい結果となります。

とはいっても、家の全てのクロスを自分たちで決めることは困難だと思います。
そんな時は設計士に「落ち着いた空間にしたい」「遊び心のある空間にしたい」等のリクエストを伝え、何パターンかのクロスを選んでもらい、そこからアレンジを加えたり、気に入ったパターンがあれば最終決定する。 こういった方法が良いのではないでしょうか。

ここまで色々と書いてきましたが、やはり大事なことは設計士との意思疎通。 世間話や趣味の話。家に関係ないような話であっても、積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
お互いの理解を深めることがより良い家づくりの第一歩になるはずです。


※1 著者曰く、「締切を過ぎたある日、この原稿のことを夢に見て慌てて書き始めたんです」とのこと。それはきっと、我々編集部の想いが「夢枕に立つ」という形で現れたのかもしれません。しかし、まさかにゴルフに行っていたなんて…
※2 調べてみると、日本人は「虹」を赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色で認識していますが、イギリス・アメリカでは藍色を除いた6色として認識しているようです。この「色彩感覚」の違いには、文化慣習、身体的な特徴(目の色や光の感じ方)なども影響しているようです。
※3 一例をあげると、灰白色(かいはくしょく)・白橡(しろつるばみ)・月白(げっぱく)・白菫色(しろすみれいろ)・利休白茶(りきゅうしろちゃ)なんて色もあります。ぜひ調べてみてください。
※4 回遊式庭園と数寄屋風書院が有名な京都市西京区にある皇室関連施設。
※5 シーリング=天井に直付けするタイプの照明器具のことを指します。天井の中央部に設置することで部屋全体を照らすために使用することが多く、日本の住宅に最もよく使われる照明です。天井がすっきりするため、部屋が広く感じるなどのメリットがあります。
※6 ペンダントライトとはチェーンやコードなどで、天井から吊り下げた照明のこと。一灯タイプのものやシャンデリアまでペンダントライトに含まれるため、選ぶテイストによって全く異なる空間を作ることができるのが特徴。


山﨑かずお

著者プロフィール

多摩美術大学建築科卒。都内設計事務所勤務を経て、フリーランスの商業建築設計及びグラフィックデザイナーとして活躍。現在は「サラリーマン道」を究めるため、某住宅メーカーに在籍中。

ページトップへ