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第2回 『灯り考2』

寒くなってきたこの時期※1、仕事を終え夜の街を車で走っていると、飲食店から漏れるオレンジ色の灯りが目に留まります。私にはその温かな柔らかい光には何か心惹かれるようなものが感じられます。読者の皆さんも覚えがありませんか?※2懐かしいような、ほっとするような、この不思議な感覚には多くの方が共感いただけると思います。 では皆さん、少し想像してみてください。この店先から漏れるオレンジ色の灯りが、青白い蛍光灯の光だったら…同じように心惹かれるでしょうか。 なぜ人は青白い光(蛍光灯)よりも、夜の街並みに漏れるオレンジ色の光(電球色)に特別な感情を抱きやすいのでしょうか? 電気を使った灯りでは、かのエジソンが発明した電球が最初のものとなりますが、さすがにこの灯りがDNAに刷りこまれているからだ、と考える人は少ないでしょう。「幼い頃は電球色で生活していたから」「暖かそうな色だから」…人間の心理に迫るのは著者にはとても無理なので、家で使用する「照明」という視点で掘り下げてみたいと思います。

皆さん、ご自宅の照明・灯りを確認してみてください。お部屋の真ん中に付いている照明ひとつだけという方も多いのではないでしょうか。最近ではLED照明※3も多くなってきましたが、まだまだ蛍光灯が主流です。ごく当たり前のように室内照明に蛍光灯を選んでいる方は、一度ホームセンターの照明コーナーへ足を運んでみてください。太陽光や電球色など、たくさんの種類の灯りを目にすることができるはずです。

先ほどお話した「オレンジ色の灯りに心動かされる」私たちが、もっとも「くつろげる場所」である自宅では蛍光灯で過ごす…なんだか、もったいないような気がします。もっと情緒のある暮らしを楽しみましょう。そのために、まず照明を変えてみてはいかがでしょうか。灯りひとつで同じ空間の雰囲気ががらりと変わります。

ですが、注意を!

部屋にはそれぞれ特徴・特性というものがあります。キッチンを比較的暗めなオレンジ色にしてしまうと、奥様はお料理がしづらく※4、怪我ややけどをする危険があります。

世の中いかなる場合でもTPO※5は存在します。それは照明においても例外ではありません。作業をする場所にはそれに適した灯り。愛を育むシチュエーションではそれに適した…と横道にそれてしまいそうですが※6現実問題として照明は場所・シチュエーションに合わせることが大切です。 なかでも家のなかでもっともくつろげる場所である「リビング・ダイニング」。この空間の照明に白色の蛍光灯を使っているようであれば、一度電球色のものと取り換えてみてください。雰囲気の違いを楽しめるはずです。

また、照明の楽しみ方として「何に光が当たるか」に意識を向けると、見慣れたいつもの空間を変化させることができます。前回の最後でお話した「光源と対象物」のお話※7です。試しに照明を壁際に置き、クロスがよく照明に当るようにしてください。すると、今までただの白だと思っていた壁が、凹凸を見せながら表情豊かに浮かびあがるではないですか。 メインの照明の明るさが変えられるタイプであれば、暗めに設定するだけで一杯やりたくなるようなムードにすることだってできるのです。

注文住宅であれば、このように「照明」にこだわってプランニングしていくことが可能です。空間において「灯り」はとても大切な要素です。金額だけで安易に決めるのではなく、また「明るければ良い」的な発想※8も考え直す必要があるのではないでしょうか。

次回は「直接照明・間接照明」など具体的な照明のアドバイスに入りたいと思います。


※1 著者がこのコラムを書いたのは1月初頭となっております。
※2 原文ではこのあと「おそらくお腹が減っていたからかもしれない」と続きます。それでは話が終わってしまうため、割愛させていただきました。
※3 LED照明とは、発光ダイオード(LED)を使用した照明器具のこと。これまでの蛍光灯や白熱灯に比べ非常に高寿命で、一度設置すれば管球交換のような頻繁な保守の手間が省け、管球の購入コストを削減できるのが特徴。
※4 最近は女性だけではなく、お料理のできる男性がモテるようです。イケメンが血を流すところを見たくなければ、手元は明るい方が良いでしょう。
※5 Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の略で「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味する和製英語。一言でいえば「空気を読め」。
※6 横道すぎます…
※7 「人間の心と灯りには密接な関係にあり、『何によって、どんなものが照らされるか』で、心理的な影響を及ぼす」という内容。
※8 この考えを持つ人は結構多いのです。


山﨑かずお

著者プロフィール
多摩美術大学建築科卒。都内設計事務所勤務を経て、フリーランスの商業建築設計及びグラフィックデザイナーとして活躍。現在は「サラリーマン道」を究めるため、某住宅メーカーに在籍中。

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