これから家を購入するなら押さえておきたい4つのポイント

マイホームの購入を検討しているものの、金額の大きさからなかなか踏み出せないという人は多いのではないでしょうか。「家を買って後悔した」という話を耳にして、不安に感じる人もいるでしょう。

そんな、家の購入に向けてあと一歩が踏み出せない人のために、「家を買うときに押さえておきたい4つのポイント」をご紹介します。自分に合った物件立地の選び方をはじめ、予算計画の立て方、住宅の周辺環境をチェックする方法まで詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

IECOCORO編集部
群馬・栃木・宮城・山形で注文住宅の情報誌「IECOCORO(イエココロ)」を発行する編集部。WEBサイト「自慢の注文住宅集めました。」では、地域の工務店情報のほか、多数の建築実例とイベント情報を紹介しています。

目次

家を購入するまでの流れ

マイホームの購入を決めたものの、「何から始めたらいいかわからない」と悩む人も多いはずです。物件が新築でも中古でも、スムーズに購入を進めるためには全体の流れを把握することが大切です。

家を購入するときの流れ

また、入居までにかかる期間は以下の通りです。

住宅のタイプ入居までの期間の目安
注文住宅9ヶ月~1年
建売住宅最短で1ヶ月
(未完成の場合は、3~4ヶ月)
新築マンション契約時に完成済の場合、1~3ヶ月
(未完成の場合は、完成後2ヶ月)
中古一戸建て
中古マンション
1~2ヶ月
(居住状況による)

注文住宅は、建築会社と契約を交わすまでに多くの時間を必要とします。こだわりの強さによって設計や工事にかかる時間も変わるため、数年かかることもあります。注文住宅を建てる場合は、余裕のあるスケジュールを立てましょう。

一方で、建売住宅や新築マンションは最短1ヶ月で入居可能です。しかし、建物が未完成の場合には期間が大きく変わります。建売住宅であれば、契約後に工事を始めても4ヶ月程度で入居できますが、新築マンションの場合、契約から建物の完成までに年単位の時間がかかるケースもあります。想定している入居時期に建物が完成しているか、しっかりと確認しましょう。

中古物件は1ヶ月程度で入居できます。ただし、入居中の物件を購入した場合は、居住者の引っ越しを待たなければなりません。そのため、2ヶ月ほどの時間が必要なことがあります。

このように、住宅のタイプによって入居までにかかる期間は異なります。希望の入居時期がある場合は、そこから逆算して、計画的に購入を進めましょう。

マイホームを購入したら、確定申告が必要

家を買って「住宅ローン控除」を受ける場合、購入・入居した年の翌年1月以降に「確定申告」をする必要があります。会社員であれば「翌年1月~3月15日まで」に、毎年確定申告を行う自営業者は「2月16日~3月15日」の期間で通常の申告と併せて行います。なお、会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続きが可能です。自営業者は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅ローンの年末残高証明書」を添付し、毎年税務署へ提出しましょう。

参考:フラット35 会社員が住宅ローン控除を受けるための「はじめての確定申告」

を購入するタイミング

購入の流れと入居までの期間がわかったところで、次に「いつ家を買うか」について考えましょう。そこでまず、物件の種類別に、住宅購入者の年齢、世帯年収、購入資金の平均値を見てみます。

グラフ-住宅一時取得者の世帯主の年齢
国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」より作成

新築物件の購入者は「30歳代」が最も多く、中古物件では高い年齢の割合がやや増えるものの、「30歳代」と「40歳代」が同率で全体の半数以上を占めています。また、平均年齢も「30代~40代前半」に集中していることがわかります。

住宅ローンを利用する場合、この年齢が家の購入に最適なタイミングと言えます。なぜなら、ローンの審査では収入面だけではなく、完済時の年齢も重視されるからです。完済時の年齢は、金融機関の多くが70~80歳に設定しています。住宅ローンの返済期間が一般的に35年であることを考えると、「30代~40代前半」であれば余裕を持った返済計画を立てられるのです。
同調査でも、住宅ローンの平均返済期間は「新築物件で約30~35年」、「中古物件で約28年」という結果が出ており、購入時の年齢から計算すると、全てのケースで80歳までに完済することがわかります。

ローンの借入額や頭金などの条件によって返済期間は異なるため、あくまで目安ではありますが、家を買うタイミングを決める際の1つの基準にすると良いでしょう。

家を買うときに押さえておきたい4つのポイント

家を買うときに押さえておきたい4つのポイント

マイホームの購入は、ほとんどの人にとって一生に一度の大きな買い物です。「せっかく家を買うなら、失敗したくない」と考える人も多いでしょう。そこで、購入する際に押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。

【ポイント1】自分に合う住宅を選ぶ

家の購入を考え始めたら、まずはどんなタイプの住宅を購入するか決めましょう。「一戸建てか、マンションか」という選択だけではなく、「新築か中古か」、さらに一戸建ての場合には「注文住宅か、建売住宅か」など、考えるべきことは意外とたくさんあります。それぞれの特徴を把握し、予算やライフスタイルなども考慮しながら、自分に合う住宅を選びましょう

一戸建てとマンションの違い

まずは、一戸建てとマンションの特徴を比較してみましょう。

一戸建て
メリット土地を含めて自分の資産になる
独立した建物のため、プライバシーが確保される
他世帯の生活音が気になりにくい
管理費や修繕費、駐車場代などの出費がない
増築やリフォームなどが自由にできる
閑静な住宅街で落ち着いた生活ができる
デメリット建物や庭は全て自分で管理しなければならない
耐震・耐火性は、住宅の構造によって異なる
道路に面していることが多く、自主的に防犯対策をしなければならない
駅から離れていることが多い
マンション
メリットワンフロアのため、生活動線がコンパクトになる
耐震・耐火性が高く、防犯設備も充実しているため、安心して生活できる
駅や商業施設から近い物件が多い
建物の管理・修繕をしなくて良い
デメリット間取りの自由度は低く、一戸建てと比べると狭い
管理費・修繕積立金など、毎月の出費が負担になる
窓の向きや数が限られるため、日当たりや風通しは部屋ごとに異なる
外部の音は遮断できることが多いが、上下左右の部屋の足音や生活音が響くことがある

一戸建ては、建物の管理や防犯対策、経年劣化による修繕などの手間があるものの、住んでからの自由度が高いことが魅力です。一方で、マンションは管理費などの負担があるものの、管理の手間が少なく、利便性の良い立地で生活できることが大きなメリットです。建物の強度が高く、防犯面に優れていることも魅力の1つと言えます。

上記のメリット・デメリットを踏まえて、向いている人の特徴をまとめると以下のようになります。

一戸建てに向いている人静かな環境で子育てをしたい
自由にペットを飼いたい
庭がほしい
駐車場を確保したい
気軽にDIYを楽しみたい
マンションに向いている人買い物や交通の利便性が高い場所に住みたい
耐震性や防犯面を重視したい
ワンフロアで効率の良い暮らしがしたい
車よりも公共交通機関の利用が多い

注文住宅と建売住宅の違い

一戸建てを検討する場合は、注文住宅を建てるか、建売住宅を購入するか、2つの選択肢があります。それぞれにどんな特徴があるか、メリットとデメリットを挙げながら比較していきます。

注文住宅
メリット建てる場所・建築会社を好きに選べる
間取りをはじめ、建材から住宅設備、デザインまで自由につくれる
こだわる部分に費用をかけ、不要な部分は節約するなど、お金の調整がしやすい
建築の過程が見られ、気になる点を工事現場で確認できる
デメリット土地や建築会社を探したり、何度も打ち合わせをしたりするため、手間と時間がかかる
こだわりすぎると費用が高くなる
家が完成するまで外観や室内の確認ができず、暮らしのイメージがつかみにくい
建売住宅
メリット土地と建物をセットで購入するため、手続きがわかりやすい
購入手続きが終わり次第、すぐに入居できる
良い立地の物件も見つかりやすく、さらに注文住宅よりも手ごろな価格で買えることが多い
完成済みの物件が多いため、外観や室内の仕様を確認してから購入を決められる
デメリット間取りやデザインの自由度が低い
似たような家が多く、個性を出しにくい
工事の過程が見られないため、構造や土地の状況など見えない部分の確認ができない

注文住宅の魅力は、何といっても自由度の高さです。間取りやデザイン、性能まで、家族の趣味やライフスタイルに合わせて柔軟に決められます。ただし、明確な価格設定はないため、こだわるほどに費用は高くなります。一方で、建売住宅は自由度が低いものの、価格が明確なために予算の計画が立てやすく、入居までの時間が短いことが大きなメリットです。

こちらも、上記を踏まえて向いている人の特徴をまとめてみます。

注文住宅に向いている人家を建てる土地を持っている、住みたい場所が決まっている
手間と時間をかけても、趣味やライフスタイルを反映したこだわりの家に住みたい
間取りやデザインにこだわりたい
取り入れたい住宅設備がある
家づくりを依頼したい建築会社がある
建売住宅に向いている人土地を持っていない
手間や時間をかけずに、一戸建てを取得したい
間取りやデザインなどにこだわりがない、またはある程度決められている方が選びやすい
外観や室内などを確認してから購入したい
費用を抑えたい
すぐに入居したい

注文住宅と建売住宅の違いについては、「建売と注文住宅はどちらが良い?」の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

また、注文住宅の費用や家づくりのアイデアを別の記事で詳しく解説しています。「家を建てたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。

新築住宅と中古住宅の違い

一戸建てとマンションで悩む場合には、さらに新築か中古かについても判断する必要があります。これまでと同様に、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。

新築住宅
メリット建物が新しい
新しい設備が揃っている
最新の安全基準、耐震基準に則っている
傷みが少なく、住宅の性能や耐久性が高いため、維持費が抑えられる
税金の優遇措置を受けやすい
デメリット中古住宅に比べて価格が高い
利便性の高い人気のエリアで良い物件を見つけるのが難しい
入居後のリスクを予測できない
中古住宅
メリット価格が安い
建物の現在の状況を確認できるため、将来的なリスクを判断しやすい
エリアによっては、新築よりも好立地の物件に出会いやすい
初期費用を抑えられる
デメリット設備が古い
住宅ローンを組めない可能性がある
築年数によっては、耐震性能に注意が必要

新築住宅の大きな魅力は、新しい建物に最新の設備が揃った状態で入居できることです。安全基準や耐震基準も最新のものに沿って建てられているため、建物の耐久性や災害時の安全性が高いこともメリットです。
一方、中古住宅は、価格の安さが最大の魅力です。新築住宅よりも好立地の物件を見つけやすい点もメリットと言えます。ただし、建物の安全基準や耐震基準は建築当時のものに沿っているため、築年数はしっかり確認しましょう。

新築と中古で悩む場合には、費用や立地、建物の新しさなど、購入にあたって何を優先するかを考えると良いでしょう。

予算や入居時期などの都合で中古物件を検討する場合は、購入後にリノベーションするという手段もあります。間取りの変更や設備の入れ替えができるほか、耐震工事を施すことで最新の耐震基準に沿った建物にすることも可能です。記事の後半では、リノベーションの実例を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

【ポイント2】どんな場所に住みたいか考える

家を購入するときには、立地について考えることも大切です。「子育てしやすい環境」「通勤・通学が楽にできる」など、周辺環境に望むことは家族によって異なります。生活するうえで必要な条件を洗い出して、住みやすいと思える場所で探すと良いでしょう。そこで、国土交通省「平成30年度 住生活総合調査」から、実際に住宅を購入した人が「居住環境に関して何を重要と思うか」を見てみましょう。

グラフ-住宅購入者が居住環境で重要だと思うこと
国土交通省「平成30年度 住生活総合調査」より作成 ※編集部により一部編集

居住環境において「治安」が最も重要視され、買い物や通勤・通学などに関わる「利便性」が上位を占めています。安全性や自然環境なども大切な要素になるでしょう。この結果から、立地を選ぶ際のポイントをまとめると以下のようになります。

立地を選ぶときのポイント

  • 地域の治安
  • 商業施設の種類、各店舗までの距離
  • 周辺の交通事情(通勤・通学の利便性、交通量や歩道・道路の安全性など)
  • 子育て環境(医療・福祉・文化施設の充実度、公園の有無など)
  • 自然環境
  • 家庭ごとの条件(実家との距離など)

実際に家を購入した人の意見を参考にしながら、自分たちが居住環境に何を望むか考えてみてください。また、その土地で長く暮らすことを考えて、将来的な地域の変化にも目を向けると良いでしょう。再開発や商業施設のオープン予定など、変化しそうな要因を調べることもおすすめします。

物件を探すときはハザードマップも確認しよう

立地や周辺環境のほか、その地域で起こりうる災害のリスクを確認しておくと、いざという時に備えることができます。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で簡単に調べられるため、ぜひ利用してください。

【ポイント3】無理のない予算計画を立てる

予算を計画する前に、家の購入を予定している地域の価格相場を把握しておきましょう。

スクロールできます
地域注文住宅
(万円)
建売住宅
(万円)
新築マンション
(万円)
中古一戸建て
(万円)
中古マンション
(万円)
北海道4,4303,5554,2902,3182,525
東北4,0372,9044,1272,0632,472
北関東信越4,0422,5813,8291,9072,066
首都圏
(東京を除く)
5,0233,9514,7432,8912,577
東京6,6235,2615,8204,5644,493
南関東
(首都圏を除く)
4,1792,7203,0671,8771,844
東海4,7593,2224,4182,4932,220
北陸3,9412,6574,2201,8782,692
近畿4,8943,7134,9742,5242,776
中国4,3123,1083,8622,4842,413
四国3,8693,0163,4602,1241,973
北部九州4,4533,3273,9912,6452,684
南九州4,0143,1154,168 2,4893,038
参考:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2022年度)」 ※編集部により一部編集、注文住宅の金額には土地代を含む
都道府県の分類について(北海道・東京を除く)
  • 東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
  • 北関東信越:栃木県、群馬県、新潟県、長野県
  • 首都圏(東京を除く):神奈川県、埼玉県、千葉県
  • 南関東(首都圏を除く):茨城県、山梨県、静岡県
  • 東海:岐阜県、愛知県、三重県
  • 北陸:富山県、石川県、福井県
  • 近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
  • 中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
  • 四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
  • 北部九州:福岡県、佐賀県、長崎県
  • 南九州:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

また、住宅購入者の平均世帯収入は以下の通りです。

物件の種類平均世帯年収 (万円)
注文住宅731
建売住宅722
新築マンション923
中古一戸建て682
中古マンション609
参考:国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査

物件の種類別に価格相場と購入者の世帯収入を知ることで、購入資金の見当が付けられます。予算を計画する際の参考にしてみてください。

家を購入するための費用

住宅ローンを利用する場合、家を買うための資金は「頭金+住宅ローンの借入額」で決まります。ある程度の予算を決めたら、自己資金をどれくらい用意できるか、そこから頭金をいくら捻出できるか考えましょう。

では、頭金はどれくらい用意すればいいのか、その目安について解説していきます。まずは国土交通省の調査から「購入資金に占める自己資金(頭金)と借入額の金額」を見てみましょう。

グラフ-購入資金に占める自己資金と借入額
国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」より作成

購入資金に差はあるものの、自己資金の占める割合は2~4割程度であることがわかります。この結果から、頭金は購入資金の3割ほどを目安にすると良いと言えます。もちろん、貯蓄の金額次第で頭金を増やしても構いません。頭金が多いほど住宅ローンの借入額は減り、返済の負担も減らすことができます。

ただし、ここで覚えておきたいのは「必要なお金は物件の価格分だけではない」ということです。購入時の手続きにかかる費用や、新居への引っ越し代などの「諸費用」も必要です。諸費用は基本的に現金で支払うため、自己資金を全て頭金に充ててしまわないように注意しましょう。

また、貯蓄を全て自己資金にすると生活に支障が出る恐れもあります。急な出費や、事故などの万が一の事態にも対応できるように、半年分の生活費くらいは手元に残しておきましょう。

住宅ローンの借入額の決め方

住宅ローンを借りる際、家計の状況を考えずに上限まで借りてしまうと、返済が始まってから「想像以上に負担が重い」ということが起こり得ます。そのため、住宅ローンの借入額は「毎月無理なく返済できる金額」を基準にして決めることをおすすめします。

毎月無理なく返せる金額は、簡単な計算で割り出すことができます。そこでポイントになるのが「返済負担率」です。
返済負担率とは、「年収に対する年間返済額の割合」を表す数字で「25%以下」が無理のない指標とされています。まずは返済負担率を25%に設定し、「年収×0.25÷12ヶ月(年収の48分の1)」で毎月の返済額を計算してみましょう。

計算が終わったら、各金融機関や住宅金融支援機構が公開する「ローンシミュレーション」を利用することで、借入可能額を調べることができます。予算を考えるときに、ぜひ活用してください。

家の購入に関する補助金や減税制度

家を購入するときには、条件を満たすことで国から補助金を受け取れたり、減税を受けたりすることができます。購入後に気づいても、基本的にはさかのぼって利用することはできません。買う予定の物件が補助金の対象かわからない場合は、購入先の会社に相談してみると良いでしょう。

補助金(令和6年度)
減税(令和6年度)

参考:国土交通省「令和6年度 支援事業一覧」 ※各補助金・減税の詳細は項目のリンク先でご確認ください。

ZEH、長期優良住宅とは
ZEH(ゼッチ)

実質的なエネルギー消費量がゼロ以下になる住宅「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」のことで「ゼロ・エネルギー住宅」とも言われます。住宅の性能を高めることで日常の消費エネルギー(電気やガス)を減らしつつ、太陽光発電などを用いてエネルギーを創り出すことで「創出エネルギー≧消費エネルギー」を実現します。
エネルギー消費量の削減割合などに応じて、「ZEH」のほか、「ZEH +(ゼッチ プラス)」「Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)」「Nearly ZEH +(ニアリー ゼッチ プラス)」「ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)」の5つの種類に分類されます。

参考:資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について – 省エネ住宅

長期優良住宅

国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、「長く安心・快適に暮らせる」と認定を受けた住宅のことです。以下の基準を満たすことで認定されます。

  • 長期に使用するための構造及び設備を有していること
  • 居住環境等への配慮を行っていること
  • 一定面積以上の住戸面積を有していること
  • 維持保全の期間、方法を定めていること
  • 自然災害への配慮を行っていること

参考:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは

家計の状況と照らし合わせながら、住宅ローンや補助金・減税などを上手に利用して、無理のない予算計画を立ててください。

【ポイント4】諸費用を把握しておく

家を購入するための費用で触れたように、住宅を買う際には物件の購入費以外に、手数料や税金などの諸費用がかかります。原則として現金での支払いが求められるため、予め準備しておきましょう。

諸費用の具体的な内容

諸費用の具体的な項目として、次のようなものが挙げられます。

物件の購入にかかる諸費用

印紙税

売買契約書(工事請負契約書)に貼る印紙代です。

不動産取得税

不動産取得時に生じる地方税で、「固定資産税評価額×標準税率」の計算式で算出されます。標準税率は原則4%ですが、令和6年3月31日までに取得した不動産の場合は特例措置により3%になります。また、一定の条件を満たす不動産であれば、軽減措置によりゼロになるケースもあります。
参考:総務省「不動産取得税

登録免許税

不動産を取得した後、「自分の所有物である」ということを登記簿に記録する際にかかる国税です。物件購入時の登記には、新築の建物の取得時にする「所有権保存登記」、土地や中古物件の購入時にする「所有権移転登記」の2種類があります。保存登記は令和6年3月31日まで、移転登記は令和8年3月31日まで軽減措置が適用されます。
参考:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

司法書士への報酬

登記をする際、司法書士に手続きの代行を依頼することが多いです。報酬額は登記の種類によって差があります。

固定資産税清算金

固定資産税は、1月1日時点における不動産の所有者が同年1年分を納めます。そのため、年の途中で不動産の取引があった場合は、取得日から年末までの期間分を買い主が負担するのが通例です。清算金は売買価格に加算されるため、売主が法人の場合は消費税がかかります。
参考:総務省「固定資産税

修繕積立基金

新築マンションの引き渡し時にかかる費用です。引き渡し時にまとまった額のお金を集めることで、将来の大規模修繕に備えたり、毎月の修繕積立金の額を抑えたりすることができます。

仲介手数料

諸費用の目安でも述べたように、不動産会社が仲介する物件を購入するときにかかる費用です。400万円を超える物件の仲介手数料の上限は「物件価格×3%+6万円(税別)」です。

住宅ローンにかかる諸費用

印紙税

ローンの契約時に交わす「金銭消費賃借契約書」に貼る印紙代です。

登録免許税

住宅ローンの借入の際にも、金融機関が土地や建物に抵当権を設定する「抵当権設定登記」をする必要があります。令和6年3月31日まで軽減措置が適用されます。

司法書士への報酬

物件と同様、登記の際に手続きの代行を司法書士に依頼するための料金です。

ローン手数料

住宅ローンを契約する際に、金融機関へ支払う手数料です。

ローン保証料

住宅ローンの返済が滞った場合の備えとして、返済を保証する会社に支払う費用です。毎月の金利に0.2%ほど上乗せして支払う場合もあります。※フラット35を利用する場合は不要です。

物件検査手数料

購入する住宅が、融資を受ける基準に適合しているかどうか検査するための費用です。主にフラット35を利用する場合にかかります。

火災保険料

住宅ローンの借入をする際は、ほとんどの金融機関で火災保険への加入を必須としています。契約期間は最長10年で、期間が長いほど保険料は割安になります。

物件の種類ごとに諸費用は変わる

上記で紹介した諸費用がかかるかどうかは、購入する物件の種類によって異なります。購入前に、どんな諸費用が必要か把握しておきましょう。(○:かかる、△:かかる場合とかからない場合がある、―:かからない)

注文住宅建売住宅新築
マンション
中古
一戸建て
中古
マンション
印紙税
不動産取得税
登録免許税
司法書士への報酬
固定資産税清算金
修繕積立基金
仲介手数料
ローン手数料
ローン保証料
物件検査手数料
火災保険料
※状況や条件によって異なる場合があります。

税金は基本的にどんな物件でも発生します。ただし、不動産取得税や登録免許税は軽減措置が適用されることがあるため、適用条件をしっかり確認しましょう。住宅ローンを利用する場合はローン手数料・保証料が必ずかかるほか、なかでもフラット35を利用する際は物件検査手数料も必要になります。

一方で、修繕積立基金は新築マンションのみかかります。完成したばかりのマンションは修繕積立金が少ないため、不測の事態に備えて徴収されます。そのため、中古マンションの購入時には発生しません。仲介手数料は主に中古物件を購入する場合にかかりますが、不動産会社が仲介して販売する建売住宅の一部でもかかることがあります。

また、中古物件を購入後にリフォームやリノベーションを行う場合は、その費用も用意しておきましょう。

諸費用の目安

諸費用の目安も、物件の種類ごとに違いがあります。種類別の割合と、建築費用・物件価格を3,000万円と仮定した場合の金額の目安は以下の通りです。

注文住宅

建築費用の10%程度(300万円)
※土地を購入する場合は、さらに土地の売買に関する諸費用が必要

建売住宅

物件価格の6~9%前後(180~270万円)

新築マンション

物件価格の3~6%前後(90~180万円)

中古一戸建て

物件価格の6~9%前後(180~270万円)

中古マンション

物件価格の6~9%前後(180~270万円)

建売住宅や中古物件において3%の違いがありますが、これは物件を扱う不動産会社へ「仲介手数料を支払うかどうか」が影響していると考えられます。物件情報には、その物件を扱う不動産会社の立場を示す「取引態様」が記載されています。この取引態様が「仲介(媒介)」の場合に仲介手数料が発生するため、覚えておくと良いでしょう。

中古物件をリノベーションするという選択

費用や立地など、条件に合う物件がなかなか見つからない場合は、「中古住宅をリノベーションする」というのも一つの手段です。もちろん注文住宅に比べれば制限はかかりますが、建売住宅よりも自由度は高いと言えます。新築住宅よりも好立地かつ低コストで購入できることも多く、立地を重視したい人や費用を抑えたい人におすすめです。
ただし、こだわりすぎると新築よりも費用が高くなることがあります。また、築年数の古い物件では耐震工事が必要な場合があるため、予算の配分に注意しましょう。

【実例紹介1】中古住宅リノベーション

リノベーション前
リノベーション後:キッチン
リノベーション前
リノベーション後:リビング

以前からテーブルや棚、ベッドやギターまで手づくりするほどDIYが好きな施主は、家に対しても「住みながら少しずつ、趣味やライフスタイルに応じて自由にカスタマイズしていきたい」という想いが強く、「中古住宅を購入してリノベーションすること」だけを考えて、計画を練っていたそうです。

リビングは木の質感を活かしつつ、墨汁と焼酎を混ぜた塗料で柱・梁・床を黒く塗装して、古民家の趣を表現しています。また、キッチン正面の壁には築200年の古民家で使われていた梁材や桁材を再利用しており、新建材とは異なる素材感が魅力的です。

工務店情報
建築地

群馬県

設計・施工

periwinkle(ペリウィンクル)

価格の目安

坪88万円~(延床面積:2階建て33坪の場合)※造作・電気・水道・付帯工事、申請・設計・調査各諸費用込

【実例紹介2】マンションリノベーション

リノベーション後:リビング
リノベーション後:キッチン
間取り:リノベーション前
間取り:リノベーション後

「ホームパーティーをしたい」という施主の希望を叶えるため、リビングの随所に「隠れた収納」を備えて、生活感を抑えています。また、マンションにありがちな「玄関が狭い」という悩みを、既存の納戸をシューズクロークに変えたり、出入り口をずらしたりして解決しました。

デッドスペースを含め、マンションの限られた空間を余すところなく使い切った、リノベーションの好例と言えます。

建物・工務店情報
リノベーション費用

1,500万円以下

延床面積

63.70㎡(19.26坪)

建築地

宮城県

設計・施工

「暮らしのデザイン工務店」石黒建築工房×café craft

価格の目安

坪65万円~(延床面積38坪の場合)

家を買って後悔しないために 周辺環境をチェックしよう

家を買って後悔しないために-周辺環境をチェック

家を買って後悔した理由として、ローン返済の負担や住宅への不満、予想していなかった家族構成の変化などが挙げられますが、大半は生活スタイルを見直すことで解決できます。 一方で、住宅の周辺環境や治安などに問題がある場合は、自分の力で改善できることばかりではありません。穏やかな生活を送るためにも、購入する前に居住環境をしっかりとチェックすることをおすすめします。

住宅購入者の約3割は居住環境に不満がある

国土交通省による「平成30年 住生活総合調査」では、住宅を購入した人の約30%が居住環境に関して不満があると答えています。どんなことに不満を感じているのか、具体的に見てみましょう。

グラフ-居住環境の要素に対する評価
国土交通省「平成30年度 住生活総合調査」より作成 ※編集部により一部編集

火事や災害が起きた際の安全性、そして交通の安全性について不満を感じる人が多いようです。また、子育てに関わる施設やサービス、医療・福祉・文化施設の充実度への不満も比較的高いことがわかります。

「周辺からの延焼のしやすさ」と「災害時の避難のしやすさ」については、住宅密集地における敷地の広さや隣家との距離が影響していると考えられます。昨今では区画整備が進み、不満率は減少傾向にあります。しかし、万が一に備えて、購入前に家同士の距離や避難経路などを確認しておきましょう。
また、子育ての支援サービスや周辺施設の充実度は、ネットで調べるだけではなく、購入予定の場所から実際に歩いて距離などを確かめることをおすすめします。遊び場や施設が子どもの足で歩いて行ける場所にあるか、医療施設は年齢を重ねても通える距離にあるかなど、ネットで見るだけではわからないこともたくさんあります。

物件の内覧で現地を訪れた際などに散策してみると良いでしょう。

家の購入前に治安をチェックしよう

周辺環境のチェックにおいて欠かせないのが、立地を選ぶ際の最重要項目として挙げられていた「治安」の確認です。施設の確認と同様に、現地を実際に歩いてみることが大切です。

治安を確認するときのポイント

交通量の多さ

交通量の多い道路や大きな交差点がある場所は、交通事故が起きやすいと言われています。交通量の少ない細い道でも、車が速度を緩めずに通ることがあるため注意が必要です。自動車の制限速度を時速30kmに定める「ゾーン30」の標識や減速を促すマークがあるか、しっかり確認しましょう。路側帯の広さや歩道の有無を見ておくと「歩行時の安全性」も確かめることができます。

道の見通し

道の見通しの良さも大事なポイントです。見通しの悪い道は、飛び出しや出合い頭の事故が増える要因になるだけではなく、不審者が潜める死角が多くなります。通勤や通学時の安全を考えて、見通しの良い道が多い地域を選ぶことをおすすめします。

夜間の人通りや街灯

日中に人通りが多い場所でも、商業施設などの店舗が閉まると人通りが減る場合があります。街灯の数や明るさの確認もできるため、必ず夜間にも現地を訪れておきましょう。

繁華街や深夜営業の店舗があるか

居酒屋やカラオケ店など、深夜まで営業してお酒を提供する店舗が多い場所は、治安が悪くなる傾向があります。また、近くにコンビニがあると利便性は良いものの、車の騒音や喧騒に悩まされる場合があります。

落書きやゴミのポイ捨てがあるか

落書きやポイ捨てなどが多い場所は、小さな問題が軽視される環境と捉えられて犯罪が起きやすくなると言われています。ほかにも、公園のゴミ箱に家庭ごみが捨てられていないかなど、街の雰囲気をしっかり確認すると良いでしょう。

さらに、各県警のウェブサイトや犯罪発生マップ・交通事故発生マップなどを閲覧することで、周辺の治安を判断する材料が得られます。住み始めてから後悔しないように、さまざまな方法を活用し、納得できるまで周辺環境をチェックしましょう。

マンションにおけるトラブル

国土交通省の「平成30年度 マンション総合調査」によると、「特にトラブルがない」マンションは平成25年度の26.9%から23.2%に減少しており、何らかのトラブルを抱えているマンションが増えているという結果が出ています。最も多いトラブルは「居住者のマナー(55.9%)」で、具体的には「生活音(38.0%)」「違法駐車・駐輪(28.1%)」「ペット飼育(18.1%)」が上位に挙がっています。

上下左右に部屋が隣接するマンションは、隣人トラブルが起きやすい住宅です。購入する際は、管理体制や過去に起きたトラブルを確認するほか、内覧時に駐車場や駐輪場などのチェックも忘れずにすると良いでしょう。

【まとめ】物件選びは慎重にしよう

  • スムーズに家を買うためには、購入の流れを把握することが大切
  • 入居までの期間は住宅のタイプによって異なるため、しっかり購入計画を立てる
  • 家を購入するのに最適な年齢は「30代~40代前半」
  • 家を買うときには4つのポイントを押さえておく
    • 住宅タイプの違いを把握し、自分に合う住宅を選ぶ
    • 立地は「住みやすいと思える場所」を選ぶ
    • 住宅ローンの借入額は「毎月無理なく返せる金額」を基準に決める
    • 予算を計画するときは「諸費用」にも目を向ける
  • 家を購入する前に、周辺環境は納得がいくまでチェックする

家を購入するときは、「自分の望む条件や環境は何か」をしっかりと考えて、慎重に物件を選びましょう。また、周辺環境や治安などはネットの情報を鵜呑みにせず、自分の目で確かめることが大切です。そうすることで「買って後悔した」という事態を避けることができるでしょう。この記事が、良い物件を見つけるための助けになれば幸いです。

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