
建売住宅・中古住宅・マンションの場合
建売住宅・中古住宅・マンションに関しては、要は「できているモノ」を購入することになるので、住宅ローンは住宅の引渡しと同時のタイミングで借りることになります。分かりやすい例でいうと車を購入するのに似ていますね。要するにお金と物件(住宅や車等)を交換する形です。
建売業者を例にすれば、建売業者は土地を仕入れて(現金や銀行融資で)、そこに住宅を建築します。住宅建築に関わる手続き(設計や確認申請手続き等)を行い、建築費用は建売業者が負担します。消費者は完成した物件を購入することになるので、引渡しまでに住宅ローンを借りられる状態にし、決済日(引渡し日)に住宅ローンの借入と建売業者への購入代金の支払い、建物保存登記や土地の所有権移転登記、住宅ローンの抵当権設定登記等の諸登記を一斉に行います。
建売住宅の場合は、建売業者が物件を消費者に売却するまでの間、土地代金や建築費用を立て替えている形となりますので、業者は売れなかった場合のリスクがありますが、消費者にとっては資金面についてはノーリスクな住宅購入となります。
注文住宅の場合
注文住宅に関しては、「これから建てるモノ」に対してお金を払う形になります。中には、土地は既に持っていて、建物も完成してから払えば良いというハウスメーカーや工務店もあるので、その場合は建売住宅等と同様の資金フローとなりますが、一般的には土地をこれから購入し、その土地上に建物を建てていくというケースが多いので、その際の資金の流れを説明します。
5つに分かれるお金の流れ
まず土地代に関してですが、現金がなければローンを組むことになります。土地の決済資金としてまずは銀行からローンを借ります。これに関しては銀行としても土地に対して担保設定ができますので比較的スムーズに対応してくれます。もちろん借りた時点から金利は発生しますし、毎月の返済も始まります(返済については最長で12ヶ月の返済据え置きを認めてくれる銀行も多くあります)。それと団体信用生命保険も付保されますので、世帯主の不測の事態に対しても備えはあります。
次に、建築費用ですが、オーソドックスには請負契約時に手付金として1割、上棟時期に3割、中間資金として3割、竣工時(完成時)に3割という出来高払いになります。1500万円の建築費用であれば、150万円→450万円→450万円→450万円という支払いスケジュールになります。
無論、このような分割の支払いスケジュールではなく、竣工(完成)時に一括での支払いに応じられるハウスメーカー(工務店)もあります。
そして、注文住宅を建築する際に、このお金の流れを把握することが大切なのにはもう一つの理由があります。それはハウスメーカー(工務店)の経営体力を判断する材料にもなるということです。
ハウスメーカー選びの目安にも
竣工(完成)時に一括での支払いに応じられるハウスメーカー(工務店)は、材料費や大工の人件費等の建築費用のほとんどを立て替える必要があり、経営内容が良く、資金ストックがあったり、柔軟に資金調達ができる会社と判断できます。(無論、このような会社でも資金繰りを圧迫する竣工(完成)時一括払いを避ける会社もあります。)
経営体力のないハウスメーカー(工務店)の場合、竣工(完成)時一括払いを避けるのはもちろんですが、手付け資金や上棟資金といった手前の資金を建築代金の割り引きを条件に、より多く引っ張ろうとする傾向があります。要は前取りです。多めに代金の支払いをさせ、計画的に倒産する会社も実際にありました。
頭金不要時代到来!!
次に住宅ローンの細かい知識や運用方法ですが、今回はまず、皆さんの常識を覆す話題として「マイホームを手に入れるのに頭金は必ずしも必要ではない!むしろ必要ではない!」ということについてご説明したいと思います。
頭金とは住宅を購入する際の自己資金部分ですが、どうもこの「頭金」という言葉が独り歩きしているようです。頭金があったほうが良いか?それとも無いほうが良いか?といえば、それは勿論あったほうが良いのですが、実は頭金は無くても問題はありません。むしろ頭金があったが為に過ちを犯してしまう場合もあるのです。
以前(ほんの10年前くらいまで)は頭金は絶対条件でした。理由は住宅ローンが物件価格の8割程度までしか対応していなかったからです。当時は金融機関が8割までしか貸してくれなかったので、残りの2割部分と税金や各種手数料等の諸費用は自分で準備しなければならなかったのです。ところが昨今では住宅金融支援機構のフラット35を始め10割ローンが当たり前の時代となっているのです。
つまり以前は頭金は「あったほうが良い」ではなく「無いとダメ」だったのです。これが重要なポイントです。それが、現在は10割ローン(100%ローン)が当たり前になっているのです。民間銀行では100%どころか、諸費用も含めた110%ローンも登場している情勢です。
ですから現在における重要なポイントは頭金の金額でも借入できるローン金額でもありません。毎月いくらまでの負担が可能かという実生活に即した部分です。
ライフスタイルに合わせたローン計画
例えば同じ年収500万円の方が2人いたとします。一方の方は良い住宅に住むことで豊かさを感じれば住宅関連支出が多くても苦にはなりません。もう一方の方は住宅よりもレジャーや教育等の支出に豊かさを感じるので住宅関連支出は多くは捻出できない、というように年収では一律的に判断できません。判断すべきは皆さんの住生活の価値観なのです。
また、この頭金の件に連動して最近、「購入諸費用分のみ自己資金で対応するのですが、これも頭金なのですか?」というような質問をよく受けます。
諸費用とは住宅取得に関わる手数料や税金・引越し代や家具代・火災保険料等と住宅ローンに関わる手数料や保証料・税金等です。一般的には不動産仲介手数料を取られる場合で物件価格の約7%が諸費用(3000万円の物件であれば210万円)で、売主から直接購入する場合等は約4%が諸費用(3000万円の物件であれば120万円)ということになります。
この諸費用は頭金ではありません。頭金の定義は物件価格に充当する自己資金ですので、例えば3000万円の物件で諸費用が210万円、総予算3210万円の場合は210万円を超えて自己資金を充当する場合に頭金となります。よくフルローンという言葉を目にしますが、これは諸費用も含めてローンを貸すという意味ではありません。
注文住宅建築の際も、この新常識をご認識頂き、健全な住宅ローンを組んで頂ければ幸いです。
平山 健介(ヒラヤマケンスケ)
1979年生まれ
栃木県那須塩原市出身
・住宅ローンアドバイザー(住宅金融普及協会)
・FP技能士(金融財政事情研究会)
・賃貸不動産経営管理士(同協議会)
福島大学卒業。みずほ銀行勤務を経て、現在は不動産金融コンサルタントとして活躍中。不動産・住宅ローン・生命保険が専門領域。Webサイト「繰上げ返済ドットコム」やmixiにて「住宅ローンなんでも相談室」を運営する。従来の価値観にとらわれず、“住宅ローンの正しい借り方・返し方”を説き、世の中に一石を投じている。
著書に『その住宅ローンちょっと待った!』(週刊住宅新聞社)、『モーゲージプランナー養成コース』(ビジネス教育出版)、『住宅ローンコンサルティングの実務』(週刊住宅新聞社)がある。
